国立宇宙研究所(Inpe)が10日に明らかにしたデータによると、北部の法定アマゾンの森林火災は現在のペースだと今年も記録を更新しそうだと10日付現地サイトが報じた。
同データによれば、平年9月の森林火災は3万2812件だが、今月1~9日にはすでに1万2412件が起きており、昨年9月1か月分の1万9925件の半分を既に超えた。
森林火災増加は中西部パンタナルでも起きており、既に全面積の10%を焼失した。1月から9日までの火災件数は昨年同期より223%増えており、9月最初の9日間の2414件は既に、平年の月間平均の1944件を超えている。
法定アマゾンとパンタナルから立ち上る煙は南部や隣国はおろか、南東部(リオ、サンパウロ、ミナス州など)にも及んでいる。リオ連邦大学(UFRJ)によると、大気中に吐き出された有毒ガスや煤などは3千キロ以上先まで運ばれているという。
法定アマゾンなどで繰り返される森林伐採や森林火災、先住民保護区での資源採掘や先住民の人権侵害に関する報道はブラジルのイメージを大きく損ない、国際社会からの批判や、森林保護のための投資が打ち切られる事態なども招いている。
9月の森林火災に関する報道に先駆け、モウロン副大統領とリカルド・サレス環境相が「法定アマゾンでの森林火災は、域内の農家の5%が農業生産のための整地作業として行った焼き畑のみ」と説明するビデオがネット上で流れた。
パラー州牧場主協会作成のこのビデオは、ブラジル先住民連合(APIB)が先週流した、法定アマゾンでの森林火災増加を批判し、森林破壊は大都市での消費を支えるためと批判するビデオに対抗するために流されたと見られている。
だが、副大統領らのビデオには、法廷アマゾンには生息せず、大西洋岸森林地帯にしかいないはずのミコ・レオン・ドウラードの姿も流れ、環境問題の専門家らが矛盾を指摘。
副大統領は10日、法定アマゾンと大西洋岸森林地帯の双方に触れるためのビデオと言い訳したが、牧場主協会はミコ・レオンの使用は誤りと認めた。
Inpeによると、法定アマゾンでは8月も2万9307件の森林火災が起きている。8月の数字は昨年同月を5・2%下回るが、平年の平均2万6082件は上回っており、2010年以降で2番目に多かった。
法定アマゾンの保護や先住民の人権擁護は国際的な関心事で、国内の企業家らからも連邦政府の姿勢を明確にするようにとの要請が出ている。
だが、副大統領は7月10日に、法定アマゾンの森林破壊は現政権の政策とは無関係と発言。ボルソナロ大統領も8月12日、「法定アマゾンでは火災は1件も起きておらず、森林伐採も1へクタールたりともない」と強調した。
大統領は7月の法定アマゾンの森林伐採は昨年同月より12%減ったとも語ったが、累積伐採面積は34・5%増えていた事には触れなかった。また、発言直後には、米国航空宇宙局に森林伐採や火災は起きていると指摘される事態も起きた。