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《サンパウロ州》コロナ禍で女性殺人が増加=7月は昨年同月の2・6倍

元夫に殺されたタイスさん(7月18日付G1サイトの記事の一部)

 サンパウロ州では1~7月に101件の女性殺人が発生し、昨年同期比で12%増を記録した。特に7月は13件で、昨年同月の2・6倍となった。
 「女性殺人」は女性であるが故に殺された事件のこと。夫婦関係や恋人関係のもつれから女性側が殺されるケースが多い。同州での女性殺人は、新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛などが求められた直後の4月に、昨年同月より32%多い21件を記録した。
 5月、6月は各々、9件と8件で2カ月連続で減少(昨年同月比でも減)したが、7月は再び増加に転じた。
 今年の各月の件数は、1月12件(昨年同月14件、以下同)、2月18件(12件)、3月20件(13件)、4月21件(16件)、5月9件(19件)、6月8件(11件)、7月13件(5件)となっている。
 7月18日未明にサンパウロ市南部で起きたタイス・アウヴェスさん(32)殺害事件はその一例だ。タイスさんは3人の息子達の内2人と孫1人の目の前で、元夫のオダイル・エリアス容疑者に繰り返し刺されて死亡した。
 タイスさんは12年前に結婚したが、その直後から元夫による暴行が始まった。タイスさんが離婚を考え始めると暴行は止まったが、時間が過ぎると再び暴行が始まるという生活が繰り返され、今年2月に離婚した。
 タイスさんは離婚後、子供達と一緒に友人が住む家に移り、新しい生活を始めたが、元夫につけ狙われたので告発。元夫は接近する事などを禁じられたが、命令を無視してしつこく追い回し、自宅に押し掛け続けた。

 事件当日は、余りのしつこさにタイスさんが門を開けたため、踏み込んできた元夫が彼女を蹴倒した後、何度も刺したという。
 事態に気づいた友人2人(どちらも女性)は男ともみ合って犯行を止めようとしたが、気違いのようになった元夫は彼女達を振り払い、タイスさんに凶刃を浴びせた後に逃亡。今月4日、親戚が住むサンパウロ州内陸部の町で捕まった。
 タイスさんは友人や隣人の手で救急診療所(AMA)に運ばれたが、そこでは対応しきれず病院に移送された後、息を引き取った。
 1~7月の件数は、女性殺人を特別な範ちゅうとして扱い始めた2016年以降最多だ。1~7月の件数は、16年33件、17年53件、18年73件、19年90件、20年101件となっている。
 サンパウロ州での女性殺人の85%は、現・元夫や現・元恋人などの顔見知りの人物によるもの。68%は被害者の自宅で起きており、犯人の45%は現行犯逮捕されている。被害者の平均年齢は31歳だった。
 世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)を宣言した翌日の3月12日から7月31日までの女性殺人の件数は65件で、昨年同期より8%増えていた。
 外出自粛などで夫婦が共に家にいる状況は緊張が高まる事も多く、中国武漢では都市封鎖後に離婚が増えたという。(9日付G1サイトより)