路上生活者支援をする人道派神父が「サンパウロ市市長選の立候補者から脅迫を受けている」とネット上で訴えて話題を呼んでいる。15日付現地紙が報じている。
カトリック・サンパウロ市教区のジュリオ・ランセロッティ神父は12日、ネット動画の中で「“厄介者の味方の神父”などと、あるサンパウロ市市長候補から誹謗されて困っている。それは日に日にひどくなるばかりだ」と訴え、その市長候補支持者から生命の危険を感じるような脅迫行為にあっていることを明かした。
同神父は実名を明かさなかった。だが、そのようなコメントをネットで流している人物がアルトゥール・ド・ヴァル氏であることは、関係者には明白だ。
政党パトリオッタから出馬予定のヴァル氏は、「浮浪者が多いセントロ地区の浄化」「クラコランジア(麻薬中毒者集住地区)の撲滅」を訴えている。
「路上者の神父」の異名を取り、薬物中毒者の保護を行っているランセロッティ神父を、ヴァル氏がかねてから敵視していることはよく知られている。最近では、クラコランジアでの同神父や支援者の行動や、麻薬密売者らが市警備隊を攻撃した様子の録画なども行っていたという。
ヴァル氏は、元は「ママイ・ファレイ」の異名を取るユーチューバーで、政治団体・ブラジル自由運動(MLB)での活動で有名となり、18年の選挙でサンパウロ州議に当選した。だが、就任1年目の19年には議会内での暴力的言動などが問題視され、当時所属していた民主党(DEM)から追放処分を受けている。