最高裁のマルコ・アウレーリオ・メロ判事は17日、ボルソナロ大統領が最高裁から命じられていた、「連邦警察への介入疑惑」に関する供述の期限を、大法廷での審理後に延期し、審理までは捜査も差し止めさせる命令を出した。これは、大統領がどのような形で供述を行うかを最高裁内部で審理・決定するためだ。17、18日付現地紙、サイトが報じている。
供述が求められているのは、4月にセルジオ・モロ前法相が辞任する際に問題とされた、大統領自身による連邦警察への干渉疑惑に関する件だ。これに関する報告官はセウソ・デ・メロ判事で、11日に大統領に対して連邦警察に出頭して供述を行うことを義務付けていた。
連邦警察はこの命令の後、大統領に対し、連警に出頭して供述を行う日を、21日、22日、23日のいずれかから選ぶよう強く求めていた。
この命令に対し、国家総弁護庁(AGU)は、本人が連警に直接出頭するのではなく、文書の形で行うことを求め、控訴を行った。しかしセウソ判事は病気療養を理由とした休暇に入っているため、アウレーリオ判事に判断の権限が委ねられた。
そこでアウレーリオ判事が「供述の方法や供述の日にちを決めるのは、最高裁大法廷の役割」と判断したため、大統領の供述は、大法廷での審理で供述方法が決まるまで延期されることとなった。大統領の連警への干渉疑惑への捜査も、それまでの間、停止することも命じられた。
最高裁での審理の日時などは未定だが、ルイス・フクス長官によって、決められることになる。
セウソ判事は当初、大統領に対して書簡による供述を認めなかった上、モロ氏の弁護人に、供述の場への同席とボルソナロ氏に対する質疑応答を認めるという、厳しい判断を下していた。
この問題は、ボルソナロ大統領が、長男のフラヴィオ氏や次男のカルロス氏への捜査を行わせないように、連邦警察のトップを代える人事を行おうとしたと疑われている件だ。
4月時点の連警長官は、モロ氏のパラナ地裁時代以来の腹心でもあったマウリシオ・ヴァレイショ氏が務めていた。モロ氏が交代人事に反対していたにも関わらず、本人の意向すらも無視して突如、官報で連警長官辞任を発表した。これに納得できないモロ氏は、その日の内に辞任を表明。直後の会見で、辞任に至るまでの経緯を公にするに至っていた。
モロ氏によると、辞任の3日前に行われた4月22日の閣議で、ボルソナロ氏が「連警トップの交代を求める理由は、家族を守るためだ」と主張したと明言。閣議の模様は5月24日に一般公開され、世論調査などでもモロ氏の言い分を支持する人が多数派だったものの、大統領による連警への干渉の真偽や、その件の違憲性に対するはっきりとした判断はまだ出ていなかった。
17日付BBCブラジルは、ボルソナロ大統領が供述を行う際、連邦警察が必ず行うであろう質問として、「家族や友人を守るために連邦警察のトップとリオ州の責任者を代えたかったのはなぜか」「これまで送るのを否定されていた(入手を希望したができなかった)という警察の情報とは何なのか」「フェイクニュース捜査でも大統領は捜査の干渉を行いたかったのか、それとも情報を集めたかったのか」の三つをあげている。