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《ブラジル》基礎的収支赤字は8610億レ=経済省が予想額引き上げ=外国人投資減傾向は拡大

コロナ禍でかじ取りに苦戦している経済省(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 経済省は今年の基礎的収支赤字が8610億レアルに達する見込みだと発表したと、22日付現地紙サイトが報じた。7月末時点で、同赤字は7874億5千万レアルと見込まれていたから大幅な上方修正だ。
 2カ月毎に提出される歳入・歳出報告書によると、歳入見込み額は97億2千万レアルの減額。減収が予測されているのは、通常税収64億レアル、社会福祉関係納付金26億レアル、原油・天然ガスの採掘に伴うロイヤルティ14億レアルなど。他方、南北鉄道とパウリスタ鉄道の入札で39億レアルが入るとの見通しも出た。
 歳出では、社会福祉関連で45億レアルなど、政府関連支出の見直しと減額が見られた。340億レアルが計上されていた緊急雇用支援プログラム(Pese)は最たるもので、173億レアルの減額となった。学生融資基金(Fies)も6億7千万レアル削られた。
 だが、これらの努力によっても、新型コロナの感染拡大によって生じた保健関連と雇用維持のための経費急増分は埋め合わせる事は出来ず、赤字見込み額の大幅増額を招いた。
 増額したものの一つはボウサ・ファミリアで23億レアルが追加計上された。さらに、コロナ禍に伴う緊急支援金の676億レアル増額を含む、緊急融資資金が843億レアルの増額となっている。
 経済省経済政策局は同時に、今年の国内総生産(GDP)は前年比4・7%減の7兆1900億レアルとの見通しを維持した。この数字は、金融界の専門家らによる5%減の予想より楽観的だ。

 年末時点のインフレを示す拡大消費者物価指数(IPCA)は1・8%の予想で、こちらは前回予想の1・6%より上方修正された。最低賃金の調整に使われる全国消費者物価指数(INPC)も、2・1%から2・4%に上方修正されたが、年末時点の経済基本金利(Selic)の見通しは現行の年2%ではなく、年2・6%に据え置かれている。
 基礎的収支の赤字額には負債返済時の利子は含まれないが、基礎的収支の赤字を埋め合わせるための公的負債の大幅増額が望めない事も経済省スタッフの頭痛の種だ。
 というのは、15年に格付会社が投資格付を下げた事などで、同年5月以降、外国人投資家による投資額が公的負債に占める割合が減少しているのだ。
 20日付エスタード紙によると、格付が引き下げられる前は、外国人投資家による投資が公的負債の20・8%を占めていたが、その割合は15年末には18・79%に、19年末には10・43%になっている。今年も、1~2月は10%台を維持していたが、コロナ禍が騒がれ始めた3月以降はさらに下がり、7月現在は9・04%まで低下している。
 負債の返済期間も、15年5月は平均で4・69年だったが、7月は3・94年と短くなっている。