ホーム | ブラジル国内ニュース | 《激動のリオ政界》州知事は屈辱的数字で罷免審理開始=州議会が69対0で賛同=リオ市長にも6年間出馬禁止判決

《激動のリオ政界》州知事は屈辱的数字で罷免審理開始=州議会が69対0で賛同=リオ市長にも6年間出馬禁止判決

23日のリオ州議会(Rafael Wallace/Alerj)

 23日、リオ州議会でウイルソン・ヴィッツェル・リオ州知事の罷免審理開始の是非を問う投票が行われ、同知事には屈辱的な69対0という結果で審理開始が支持された。この結果、州議員とリオ州地裁判事が各5人で構成される合同法廷での罷免審理がはじめられることとなった。24日付現地紙が報じている。
 今回の罷免要請では、ヴィッツェル氏の責任法違反が問われていた。同氏は、新型コロナウイルスの感染爆発の最中に、州保健局が医療業者との間で医療器具の不正取引を行った疑惑などの責任を問われているが、同氏や同氏の妻には別の収賄疑惑もある。リオ州検察局によると、ヴィッツェル氏は妻の弁護士事務所を介した汚職工作で、少なくとも55万4200レアルを受け取った疑いがあるという。
 これらの件で犯罪グループの長との嫌疑をかけられたヴィッツェル氏は、8月28日に、連邦高等裁判所(STJ)のべネジト・ゴンサウヴェス判事から、180日間の停職処分を受けた。知事が控訴したため、STJは改めて、9月2日に定職措置の是非を巡る審理を行ったが、このときも、14対1の大差で定職処分を認めた。同日より、いったんは止められていたリオ州議会での罷免審議も、再開が認められた。
 今月17日に行われたリオ州議会特別委員会では、25人中24人の州議が罷免審議の継続に賛成(1人はコロナ感染で病欠)し、23日の州議会本会議での投票を迎えることになった。
 23日の投票では、報告官を務めたロドリゴ・バセラル州議(連帯・SD)が、特別委員会の意向を尊重した形で罷免を求め、それに同調した州議たちが次々と賛成票を投じた。結果は、47人賛成すれば審理開始が承認されるところを、参加した69人の州議全員が賛成という、予想通りの展開となった。票を投じなかった1人はコロナ感染による病欠者のみだった。

 これにより、知事をめぐる疑惑は、リオ州議とリオ州地裁による合同法廷で裁かれることとなった。そこで決定された場合には、正式な罷免となる。
 合同法廷に参加するリオ州議は、26日に希望者が出馬宣言を行い、29日に選挙を行うという形で選ばれる。リオ州地裁は5日以内に担当判事5人を選出。こうして選ばれた10人で合同法廷が組まれ、120日以内に審理を行うこととなる。
 今回の結果を受け、ヴィッツェル氏は、「裁かれることなど何も気にしていない。私は違法なことなど何もしていないのだから」と、怒りを抑えきれない様子で無実を主張する動画を流した。
 アントニオ・ガロチーニョ氏、ロジーニャ・ガロチーニョ氏、セルジオ・カブラルの3氏が知事辞任後に、フェルナンド・ペゾン氏は知事在職中にと、直近知事5人のうち4人が逮捕されるなど、リオ州では激動が続いている。18年選挙でヴィッツェル氏が当選したのも、判事という肩書きやボルソナロ氏支持を訴えていたからで、政治への信用回復が期待されていた。
 リオ市長のマルセロ・クリヴェラ氏も24日、職権乱用疑惑により、選挙地裁で審理が行われ、7対0で有罪が決まった。これで再選を狙った市長選への出馬ができなくなるため、市長は控訴すると息巻いている。リオでは州でも市レベルでも激動が続いている。