ブラジルの先住民の中で最大の居住地を持つヤノマミ族は、22日現在で709人の新型コロナウイルス感染者がおり、新型コロナに対しては最も脆弱である事が明らかになった。
先住民は通常、感染症などへの免疫がないまたは弱く、一般の人より致死率が高い。
ロライマ州とアマゾナス州にまたがって住むヤノマミ族は、国内の先住民としては最大の9千ヘクタール以上の土地に住んでいる。ヤノマミ族は両州にある13のコミュニティに住み、総数は約2万6780人だ。
ヤノマミ族の感染状態は、ヤノマミ族先住民特別保健区(Dsei-Y)が22日に発表した報告書で明らかにされた。それによると、22日現在の感染者は709人で、死者も7人出ている。コミュニティ毎の死者数は、マトゥラカー2人、ウラリコエラ、スルクク、アピアウ、マラリ、マラウイア各1人だ。
ヤノマミ族先住民保健区審議会(Condisi-Y)議長のジュニオル・ヤノマミ氏によると、連邦政府はヤノマミ族の居住地で必要とされる医療従事者や医薬品を運ぶための航空機の契約さえ結んでおらず、「自分達を見捨てている」という。同氏によると、ヤノマミ族の居住地で働く医療従事者は先住民1千人につき看護技師1人のみで、Dseiも具体的な仕事ができない状態だという。
これに対し、保健省は「複数省庁が合同で現地を訪れ、支援をした」と答えた。だが、この訪問は、ロライマ州民の同意を得ていないクロロキンを先住民保護区に持ち込もうとしたとして、連邦検察庁が捜査中の件だ。
ジュニオル氏は、「ヤノマミ族はコロナ禍と不法な金採掘人から生き延びるために戦っている。我々は孤立し、本当に悲惨な状況で、住民は恐怖に慄いている」と言う。
「医療従事者達は感染者を見つけたら隔離しようとするが、ここでは隔離された患者に食事を届ける事も出来ないから、患者を部落に置いておくしかない。これではあっという間に感染が広がってしまう」とも語った。
Dseiによると、ロライマ州都のボア・ヴィスタ市にある先住民専用診療所の患者は162人で、残る547人はコミュニティ内にいる。
他方、保健省は、ヤノマミ族の居住地には医療従事者が1762人(ヤノマミ族Dsei725人、東部Dsei1937人)派遣され、各コミュニティでの初期対応にあたっているという。
同省によると、医療従事者は小児科や婦人科、内科、感染病科で計253件の診察を行い、超音波検査も10件行っている。看護師による問診や新型コロナ感染症検査、投薬は598件行われ、新型コロナの検査は皆、陰性だったという。さらに、ヤノマミ族Dseiには個人用保護具や新型コロナの簡易テストなどの医療資材29万3千点を送ったとしている。
他方、ミナス・ジェライス連邦大学の調査によると、ヤノマミ族は法定アマゾンの先住民の中では、新型コロナに対して最も脆弱だという。ロライマ州検察局のエディソン・ダマス氏も、不法な金採掘人の侵入が、ヤノマミ族の居住地で第3の大量病死を招く可能性があると見ている。
国内の先住民初のコロナの犠牲者はロライマ州北部アウト・アレグレに住んでいたヤノマミ族のアウヴァネイ・シリシャナ君(15)で、小型機で州都まで運ばれたが、集中治療室で1週間加療後の4月9日に亡くなった。ヤノマミ族Dseiでは330人が既に回復したと見ている。
(23日付G1サイトより)