「一番の夢、目標はたくさんの人に元気になってもらうこと、そして何より笑顔を届けることです」¯¯このパンデミックの真っ最中に日本でメジャーデビューを果たした黒木ナルトこと黒木ニコラス成人さん(なると、三世、21歳)。今後の目標や夢についてメールで訊ねると、そう日本語で書いてきた。「実力をつけて演歌の魅力を世界に発信したい」と展望を熱く語る。
9月初旬「孫がNHKに出るんです」¯¯そう知らせるためにサンロッケ市からわざわざ編集部に来社した黒木慧さん(85、宮城県出身)。慧さんはコチア青年第1次第1回の猛者だ。孫が日本で活躍を始めた報告をするために、顔をほころばせながら息せき切ってやってきた。
慧さんによると10月4日放送のNHK・BSプレミアム「新・BS日本のうた」の出演が決まったのだという。さっそく黒木さんの孫が所属する芸能事務所「アービング」(東京都千代田区)に取材を行い、出演を確認した。
黒木ナルトさん本人からは、さっそく日系社会に向けて「皆さんのおかげで大事な一歩を踏み出すことができました。ブラジルを代表した気持ちになって喜びを日本の皆さんに伝えたいです」とのメッセージが届いた。
歌手になるために18歳で単身訪日した黒木さんだが、最初は語学力が足りなくて「架空デビュー」話に騙され路頭に迷う経験もしたとか。日本語力を研鑽し、今年4月8日に「太陽のスマイル~ナルトの燦々サンバ~」「演歌の星」(両曲共に作曲、宮下健治・作詞、結木瞳・編曲、伊戸のりお)で(株)徳間ジャパンコミュニケーションズから、堂々のメジャーデビューを果たした。
他にも多数のメディア出演をへて、ラジオ日本「そんなバナナ」のレギュラー出演も決まっている。
黒木さんは「多くの人に笑顔を届けたい」と日本で歌手の道を歩み始めた。「一生一度のチャンスなので新人賞も狙っていきたい」との意気込みもみせ「限られたチャンスを丁寧に活かしていく」ことを毎日の目標に日々努力を重ねているという。
コロナ禍でイベントが中止になり、ネット発信力の重要性を実感した黒木さんは、ユーチューブ上で様々な楽曲の歌唱やポルトガル語講座の動画をアップロードするほか、ブログで祖父母がブラジルに移住した頃の様子を綴る「たんぽぽの手紙」の連載をしている。
「ブラジルと日本の懸け橋となる一つの方法」として始めたというSNS上での発信は「日系三世の立場だからこそ伝えたい日本、ブラジルがあります」と胸のうちを明かし「内容も充実したチャレンジをしていきたい」と意欲に燃える。
「たんぽぽの手紙」を通じ、当時の祖父母が異国で困難を乗り越える姿を思い起こしながら『真っ直ぐ』『ひたむき』『謙虚』な心を学んだという。
他にも行き詰った時には、祖父母が「青春の歌で辛い事を乗り越えてきた」ことを思いだして、「壁にぶち当たった時は思いきり歌って乗り越えていいます」と日本で元気に活動に励んでいる。
事務所に黒木さんの人柄を訊ねると「全ての環境を楽しみ、前向きに歩く。関わった人たち皆から応援して頂いている様に感じます」とし「太陽のように明るい人柄」と人柄を要約した。
黒木さんのSNSやブログは次の通り。
■ユーチューブ(https://www.youtube.com/channel/UCOawgm9fRaR9-sA8Q83Pd9g)
■ツイッター(@KurokiNaruto)
■公式ブログ「太陽のスマイル」(https://ameblo.jp/kurokinaruto/)
大耳小耳◎コラム
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黒木さんのデビューシングルとなるCDには「太陽のスマイル~ナルトの燦々サンバ~」「演歌の星」が収録されている。初めて聞いた時には自然とサンバのステップを踊り始めてしまったという「太陽のスマイル~ナルトの燦々サンバ~」は、「世界の皆様が笑顔でいっぱいになるよう楽しく歌っています」というサンバ調の明るい歌謡曲。師匠である宮下健治氏が初めて作曲したサンバ調の楽曲だが、「あっという間にできたそうです」と感嘆の声。一方、聞く側が「希望、夢、何かを目指そうと思ってもらえるよう」にと思いを込め歌う「演歌の星」。出だしの歌詞はブラジルへ移住した祖父母の奮闘も含まれており、「とても感動しました。奥深い意味の歌詞を書いてくださった結木瞳先生に感謝です」とあらためて感謝の意を表した。