新型コロナウイルスによる外出自粛令が発令されてから早くも7カ月――。「沖縄県人の団体活動もコロナの影響で止まり、自粛生活続きです。このコロナ禍生活は『群星』(むりぶし)第6巻の発刊準備に専念しています」。ブラジル沖縄県人移民研究塾の宮城あきら塾長(82歳、沖縄県)はそう語った。沖縄県人や同県人団体の動向、自粛生活の過ごし方についてサンパウロ市在住の沖縄県人に電話取材を行った。
宮城さんは自粛生活中、『群星』第6巻の発刊に向けて、原稿整理など準備を行っているという。『群星』は「移民自身による手作りの移民史」を標榜する日ポ両語の同人誌であり、昨年10月には第5巻が刊行された。
宮城さんは「当初は9月末に発刊予定でしたが、コロナの影響でサントス強制退去についての直接取材ができず、発刊延期になりました。やはり歴史的大事件ということもあり、失礼のないよう直接会って取材をしたいので。先行きはわかりませんが、年末にはなんとか発刊したいですね」と考えている。
自粛生活の心構えについても、「こんな窮屈な生活は生まれて初めてです。この生活は本当にきついですが、日々目的をもって過ごすことで、毎日の生活にハリがでると思います。この『群星』を完成させることを使命だと考えています。なんとしてもコロナ禍を乗り越えなければなりません」と意気込んだ。
健康維持に関しても「外出や運動する機会がぐっと少なくなったため、毎日家で体操や庭を歩いたりして体を動かしています。こんな中でもしっかりと体力を温存しておかなければいけませんので」と力強く語った。
同じく「群星」の編纂委員の高安宏治さん(73歳、沖縄県)もコロナ禍に関して、「家族で南米に移住し60年経ちましたが、今回のようなことはありませんでした。このコロナの影響で自粛になり色々な団体の活動が止まっています。これは本当に大変なことですよ」と驚きの胸中を語る。
沖縄県人が多く住むサンパウロ市ヴィラカロン区に在住の高安さんも、半年は自粛生活を行っている。毎年楽しみにしていた沖縄祭りも、今年は延期になった。
「本当なら8月に一大イベントの沖縄祭りが行われる予定でしたがこのコロナの影響で延期になりました。また、他の行事も中止になり、友人に会えない日々が続いて本当に寂しい気持ちです。今年2月に沖縄へ行く予定でしたがそれもコロナが原因で中止になりました。こんな経験は初めてですよ」と困惑の様子。
高安さんは、現在オンライン会議や電話で友人と会話をして日々過ごしているという。
「自粛中はオンラインアプリやワッツアップ、電話などを通して友人や知人と話をしています。通信手段も多く便利になりましたが、直接会ってゆっくり話すのと画面越しに話すのは違いますね。お互い顔と顔を見ながら笑顔で話をすることが、何よりもよいと今回改めて実感しました」と語る。
自粛生活の心構えを聞くと「世界中同じ条件なので、とにかく我慢強く生きるしかありません」と語る。
さらに高安さんも家での毎日の運動は欠かさないという。「毎日1時間ほど日光浴を行い、ラジオ体操や庭園内を歩くなど、自粛生活で体が鈍らないよう欠かさず運動しています。この問題が早く終わって皆と会えることを望んでいます。また、来年日本で開催予定のオリンピックも待ち遠しいですね」と今後への期待も語った。
ブラジル沖縄県人会及びブラジル沖縄文化センターの岩谷賢治事務局長(いわや)にも現状を取材した。
沖縄県人会は今年3月よりコロナ感染防止のため、活動を中止。当初3月のイベントを4月に延期するなど検討していたが、感染者が急増したことから、本年のイベントなどすべて来年に延期することになったという。
「毎年20回程あるイベントがすべて中止になりました。特に3月は目玉イベントのビンゴ大会がありました。この大会は1日述べ600人程出入りするため、楽しみにしている方も多かっただけに執行部は苦渋の決断でした」と現状を語る。
現在、沖縄県人会は火曜日と金曜日のみ10時から14時まで開放しているという。
岩谷事務局長は「この自粛生活は大変ですが、一刻も早く収束して以前のように戻ることを願っています」との願いを語った。