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サンタカタリーナ=続々と溢れ出る疑惑の嵐=罷免危機の知事に家宅捜索=コロナ禍医療汚職の別件で

モイゼス知事(Julio Cavalheiro/SECOM)

 リオ州同様、知事が罷免の危機にあるサンタカタリーナ州で9月30日、カルロス・モイゼス知事(社会自由党・PSL)を対象とした連邦警察の捜査が行われた。同日付現地紙サイトが報じている。
 9月30日午前、連邦警察と連邦検察庁の合同捜査が行われた。捜査目的は、同州保健局がコロナ禍の最中に行った、医療器具の不正購入に関する疑惑の解明だ。
 これまでの捜査によると、サンタカタリーナ州保健局は3月に、人工呼吸器200台を、相場より65%以上高い3300万レアルで、入札も行わずに購入した。支払いは前払いだった上、現在までに納品されたのは200台中50台。
 しかも書類不備があった上に、注文とは異なる品で、新型コロナ感染症の患者には使えないものだったため、救急車用に配備されたという。
 検察はこの疑惑に知事も関与していた可能性があるとし、フロリアノーポリス市の知事公邸と州政庁を家宅捜索した。
 コロナ禍における保健局のスキャンダルは、リオ州やパラー州、連邦直轄区などでも摘発が続いている。リオの場合はウイルソン・ヴィッツェル知事が同様のスキャンダルなどで停職処分に遭った上、リオ州議会が満場一致で罷免審理の実施を承認。今日1日から最終的な進退を決める議会とリオ地裁による合同裁判が始まる。
 サンタカタリーナ州でもこの件に関する罷免審理が始められるが、別件の罷免審理もすでに進行中。それは2019年に起こった州検察員の給与が無許可で上げられた件によるもので、7月に正副知事の停職が要請され、9月17日に州議会がモイゼス知事とダニエラ・レイネール副知事(所属政党なし)に罷免審理を行うことを承認していた。

 保健局スキャンダルの件に関する、通算2件目の罷免請求も、同州議会で9月22日に承認されている。この件でもモイゼス、レイネールの正副知事の罷免が求められている。9月8日には、人工呼吸器購入関連で2件目、通算で3件目の罷免請求も出ている。
 1件目の罷免審理のための州議会と州地裁による合同裁判所は既に結成済みで、9月25日には裁判長、副裁判長、報告官と、罷免審議の日程も決められている。
 サンタカタリーナ州政府は罷免審理に向けた州議会の動きに納得せず、罷免手続きは違反だとして最高裁に訴えた。だが、ローザ・ウェベル判事が州政府側の要求を却下したため、合同裁判は滞りなく進められる。
 モイゼス氏は消防隊員の出身で「コマンダンテ(司令官)」の名で知られる。同州PSLの会計担当を経て、政治運動団体のメンバーだったレイネール氏と共に18年知事選に出馬。ボルソナロ氏支持のイメージもあって、当選していた。