ボルソナロ大統領が当選し、ゲデス氏を経済相に据える事を明らかにした時、外国人投資家を含むマーケットは好感を示した。だが、コロナ禍の影響や財政危機の可能性の高まり、政界の混乱などで、株式市場から撤退する外国人投資家が続出しており、1~9月の引き揚げ額は既に、昨年1年間の倍に達したと2日付エスタード紙が報じた。
B3(サンパウロ株式市場)では、今年1月~9月29日の外国人投資家の投資額が882億レアル減少した。この数字は、引き揚げ額が新規投資を882億レアル分上回った事を示す。
昨年1年間の引き揚げ額は445億ドルだったから、9月27日の数字は、今年は既に昨年の約2倍の投資純減である事を示す。外国人投資家の投資純減額が最高だったのは、9月23日の892億レアルだ。
外国人投資家による投資の引き揚げは、9月1~29日だけで28億9千万レアルの投資純減を招いた。第3四半期の純減額は、およそ120億レアルに上る見込だ。
ブラジルの景気は新型コロナの感染拡大初期の3~4月に急速に悪化。しかし、5月以降は経済活動が徐々に活性化し、消費者の信頼感指数を除いた各業界の信頼感指数は上昇してきている。
だが、新型コロナの予防接種ワクチンの開発に関する動きや、感染の第二の波を怖れる国々が規制を強化しているなどの国際的な動向に加え、ブラジル国内の諸要因が、外国人投資家の意欲を殺いでいるようだ。
ブラジル国内の懸念材料は、財政危機の可能性や政界の混乱、環境問題をめぐるイメージの悪化などだ。ボルソナロ大統領の支持率は過去最高だが、ゲデス氏の評価は過去最低という現状は、今後の経済かじ取りへの不安感も物語っている。
BTGパクトゥアル・ディジタルのジェルソン・ザンロレンジ氏は、アマゾンなどの森林伐採や火災といった環境問題と環境政策を国内要因の第一、財政危機を第二に挙げた。ただし、国際的な要因で母国での地盤固めを優先したい投資家が多い事も指摘している。
他方、メッセン・インヴェスチメントスのグスターヴォ・ベルトッチ氏は、9月は8月よりはましとした後、米国大統領選も含めた国内外の政界の不安定さが当面の重圧となるとの見解を示した。
ファトール銀行のジョゼ・フランシスコ・ゴンサルヴェス氏は、外国人投資家による投資引き揚げは、コロナ禍からの回復を目指す企業家達の資金調達を困難にするという。世界経済が回復するペースの見通しが困難な事とブラジル国内の政治的な混乱などを鑑みると、短期融資を利用した解決策は有効だが、長期融資を利用した対策は旨みが少ないと見ているからだ。