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【日本移民112周年記念】「新しい力」=ブラジル日本商工会議所 会頭 村田俊典(としふみ)

村田会頭

 「日系移民112周年」を迎えるにあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 コロナ禍で、いまだに世界中が混乱しており、社会も、政治も全て手探り状態で、正解のない毎日が続いています。
 しかし、112年前の世界、特に日系移民の方々の生活を想うと、もっと不安定で厳しい状況であったに違いありません。
 私たちは、移民史料館や映画やドラマなどを通じてしか、その過酷な生活を想像することは出来ません。ですが、幾度となく危機を乗り越えてこられた諸先輩方々に思いを馳せると、前向きに進んで行かねばと教えられているような気がします。
 ブラジル人が良く使う、素敵な言葉があります。Solidariedade(団結)です。毎日、テレビで色んな形のSolidariedadeが紹介されています。日本でも、震災などで困っている人を助けるボランティアなどが紹介されていますが、ブラジルのSolidariedadeのように、出来る人が、出来る分だけ、自由な形で助け合いをするのは、日本人ではあまり見られない光景です。 
 企業の寄付や有名歌手による大がかりなチャリティーコンサート(バーチャル)もあれば、家の前に余った食材を「困っている方お好きにどうぞ」と並べる方法もあり、そのバラエティーには感心させられます。それよりも、人々の気持ちに心打たれます。
 日系社会でも、色んな形のSolidariedadeが見られます。移民史料館や日本館を救おうと立ち上がったアミーゴプロジェクト、炊き出しをして、貧しい人たちにお弁当を届けるプロジェクト、収入を失ったゴルフ場のキャディーにセスタバジカを配るプロジェクトなど、様々なプロジェクトを目にしますが、その殆どは若い日系人のリーダーシップによるものです。
 私は、その様な若い日系人の動きを目にして、素晴らしい世代交代が進んでいると感心させられます。日伯文化協会をはじめとした各団体の活動の中心も、それぞれ次世代へとバトンタッチされて来ており、それを促し、容認している各団体のトップの方々のスタンスは眩くさえ映ります。新しい力が育っています。
 一方で、言語の問題も多く簡単には進みませんが、日本企業の若手駐在員もこのような日系社会の若いリーダー達と交流し刺激を受けて欲しいと思います。 
 そして、Solidariedadeという新しい価値観を是非日本に持ち帰ってもらいたい。その若い日本人が将来新しいリーダーになる時、日伯の文化交流の成果がまた一つ育つことになります。