マルコス・ポンテス科学技術相が国立宇宙研究所(Inpe)所長にクレジオ・マルコス・デ・ナルディン氏を指名し、2日付官報に正式発表したと2、3日付現地紙、サイトが報じた。
ナルディン氏はサンタマリア連邦大学卒業後、Inpeで博士号を取得した地球物理学者。1997年からInpeで研究活動を行っている。
昨年8月に所長代行に任じられたダレトン・ポリカルポ・ダミアン氏の後任となる。ダミアン氏の前任のリカルド・ガウヴァン氏は、法定アマゾンの森林伐採が増えている事を示すデータを政府に告げずに公表したとしてボルソナロ大統領から批判された。その際、従来通りの基準で公表しているし、科学的なデータを政府の望み通りに改ざんする事は出来ないと反論して解任された。
ガウヴァン氏はNASA(米国航空宇宙局)などの国際機関からも信頼される科学者だったが、ボルソナロ氏は、ブラジルが環境犯罪を犯していると告発するために改ざんデータを公表し、国益を損じたとまで語った。
だが、ダミアン氏が代行中も法定アマゾンやパンタナルの森林伐採や森林火災は止む事はなく、現政権の環境政策に関する国際社会からの批判は高まるばかり。
全国環境審議会の大半を政府関係者が占めるように組織を変更、環境監視機関も機能不能となるような事態を招いたとし、連邦検察庁がリカルド・サレス環境相を告発する事態も起きている。
ナルディン新所長は任命初日にボルソナロ大統領を招待。Inpeの働きを理解してもらい、政府との間の溝を取り除きたいと願っている。
今年は昨年以上に森林伐採や森林火災が増えており、パンタナルの大規模火災は農園が火元であった事などを連警が明らかにしている。
環境団体グリンピースも昨年8月にパラー州で起きた大型火災に関する、次の新事実を2日に明らかにした。それによると、パラー州では昨年8月10~11日の「火の日」に農園など478カ所で火災が起き、内207カ所は保護区を含む原生林での火災だったが、懲罰を受けたのは5・7%のみ。この火災は当時から、農場主達が事前に火を放つ事を打ち合わせていた事などが判明していた。
グリーンピースは更に、農場主達が親戚の農場に家畜を移したりして環境犯罪とは無縁であるかように書類を操作し、JBSやマルフリグといった大手食品加工会社にも直接・間接に納品していた事を突き止めた。
連邦政府は「森林伐採は先住民や知事、社会団体のせい」としているが、サンジョゼ農園は19~20年に母親名義の隣接農場に牛を移動させたりした上、マルフリグに522頭、IBSに180頭を直接納入。奴隷労働で摘発された農場に牛を移動させた農場もある。
欧州連合(EU)や香港などは、森林伐採や森林火災で開拓された農地からの製品は受け入れない方針を決めており、グリーンピースから環境犯罪と関連する土地で飼育された牛の肉と知らされた当局が輸入停止を発表する例も出ている。