対立を続けていたロドリゴ・マイア下院議長とパウロ・ゲデス経済相は5日、連邦議員らが取り持った夕食会で顔を合わせ、共に詫びを入れて和解した上、経済改革を継続していくことで意見を共にした。5、6日付現地紙、サイトが報じている。
この手打ち式は連邦議員らが仕切ったもので、連邦会計検査院(TCU)のブルーノ・ダンタス判事の自宅で行われた。マイア議長はこの会に、民主運動(MDB)の下院リーダーのバレイア・ロッシ氏を伴って現れた。一方、ゲデス氏はルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府秘書室長官と共に現れた。
両者はかねてから不仲が伝えられていたが、ピークに達したのは先週だった。9月30日にゲデス氏がマイア氏に対し、「左翼と結託して民営化を止めている」と発言。それに対してマイア氏が「まともに物を考えられていない」と言って批判したのだ。社会保障制度改革を成し遂げた後、財政・行政面での改革も求められている中、ブラジル経済を担う両者の対立は政界、財界を心配させていた。
だが、議員たちが準備した和解を期待する会合で、両者はこれまでの発言を大きく和らげた。マイア氏はゲデス氏に対し、「2019年の下院議長選の際、連邦政府で唯一私を推してくれたのはゲデス氏だった」と切り出し、「それなのに、いざ政権が始まってみると意見の対立や間違いが起こり、パンデミックでそれが深まってしまった。これまでのことを謝りたい。デリカシーに欠け、辛辣な物言いになっていたところがあったと思う。でも、それは私の本意ではない」と語った。
ゲデス氏も「『税制改革が遅れている』と言われたら『民営化はどうなったんだ』と切り返すなど、売り言葉に買い言葉的なやり取りが起きていたのは、見解を述べあっていただけで、傷つけるつもりなどなかった。私の方こそ謝りたい」と和解に応じた。
両者は今後も引き続き、税制改革をはじめとした経済改革を行って行く方針を確認。予算案審議や社会福祉政策に関しても、財政支出を厳守していくことを約束した。
とりわけ、「歳出上限の厳守」は二人が共に強調したポイントだった。マイア氏は「ボルソナロ政権が問題なのではなく、今はとりわけ緊急事態だ。歳出上限という枠の中で解決策を見出すために、我々は協力し合うべきだったんだ。所得転移のためのプログラムは、万難を排して、成立させなければならない」と主張している。
対してゲデス氏は「レンダ・シダダン」の設立に慎重な姿勢を見せ、「緊急支援金は一時の緊急的なものだ(し、非常事態宣言下だ)から可能だった。ずっと続いていく体系化されたものを作るには、土台をしっかりとさせないといけない」との見解を述べている。
ゲデス氏はこの日の朝開いた、新福祉政策「レンダ・シダダン」に関する経済スタッフとの会議でも同様の見解を示している。このままいくと財源が確保できず、ボルソナロ大統領が望むほどの額の支給は期待できない可能性が大だ。