サンパウロ市市長選に伴う恒例のテレビ候補者討論会が続々にキャンセルされており、支持率1位のセルソ・ルッソマノ候補(共和者・RP)以外の候補者を苛立たせていると、7日付現地紙が報じている。
討論会のキャンセルは、9月28日にSBT局がコロナ禍を理由にキャンセルと発表したのに端を発し、6日にレコルデ、CNNブラジル局と立て続いたことで大きな問題となっている。これらはいずれも視聴者数の多い大型局ばかりだ。
局側は、コロナ感染の危険性を理由にキャンセルをした。それは、今年は聖市の市長選候補者が14人と、例年以上に多いためだ。放送局側はすべての候補者を参加させる義務はないが、それでも10人の出演が求められている。
だが、候補者やその支援者たちは、パンデミック下での討論会実施がリスクを伴うものであることを認めつつ、「視聴者に誰に投票するかを考えさせる機会を与えることこそ、優先されるべきでは」と不満の声を上げている。
それは、現在は世論調査で29%の支持を受けてトップのルッソマノ氏が、12年、16年の同市長選で、序盤の世論調査で圧倒的な支持を得るも、討論会や選挙放送で失速するという過去の経緯を持っているからだ。
ルッソマノ氏は現在行われている討論会でも「サンパウロ市独自のコロナ緊急支援金を行う」など、反論の余地の大きな提案を行っている。さらに身内のスキャンダル問題などもあり、イメージダウンの要素を抱えているため、他の候補者たちは皆、討論会で「形勢逆転のチャンスあり」と見ている。
さらに「討論会に出ないで勝つ」という戦法は、ルッソマノ氏が友好関係をアピールしているボルソナロ大統領が18年の大統領選の際にとった手法でもある。そのため、ルッソマノ氏が強いつながりを持つウニベルサル教会が運営するレコルデ局の討論会中止に、疑問の目を向ける人たちもいる。
こうした状況を受け、毎回選挙の3日前に放送されている最大局、グローボ局の討論会も、実施が怪しくなっているという。