地理統計院(IBGE)が8日、8月の工業生産は15地域中12地域で前月比増を記録し、六つの地域ではコロナ禍が始まる前の2月のレベルも上回ったと発表したと同日付現地紙サイトが報じた。
全国の工業生産は7月より3・2%増え、4カ月連続の増産となった。IBGEのベルナルド・アルメイダ氏は、「調査結果は、パンデミックによる生産活動の中断、停止後、生産活動を再開する動きが広がっている事を示している」という。
ただし、19年8月との比較では2・7%の減産で、15の地域中九つの地域で減産となった。
8月の工業生産が2月を上回ったのは、アマゾナス7・6%、パラー5・5・%、セアラー5%、ゴイアス3・9%、ミナス2・6%、ペルナンブコ0・7%となっている。
8月の月次工業生産調査(PIM)で前月比の生産増加率が最も高いのは、パラー州の9・8%だ。同州の工業生産は3カ月連続で増えており、この間の伸び率は18・2%に上る。同州の工業生産の伸びは、全体の88%を占める鉱業の回復がけん引している。
工業界全体の回復を押し上げているのは、やはりサンパウロ州だ。同州の工業生産は8月に前月比で4・8%増えた。サンパウロ州の工業界をけん引したのは自動車産業だ。同州の工業生産は4カ月連続で増えており、この間の伸びは39・8%に及んだが、パンデミック前の水準と比べるとマイナス0・6%となっている。
リオ州は3・3%増で、伸び率は7番目だったが、全体の生産量増加には3番目に大きな影響を与えた。同州の工業生産をけん引したのは、精製業を中心とする石油産業で、金属加工業も寄与した。同州の工業生産も4カ月連続で増加中で、19・1%の回復を記録した。2月比ではマイナス0・1%で、ほぼコロナ禍前に戻った。
前月比で工業生産が減少したのは、3・9%減のペルナンブコ州、2・7%減のエスピリトサント州、0・4%減のミナス州だ。ペルナンブコ州での減産は、同州の主要産業の一つの飲料生産が落ち込んだため。だが、同州は5~7月の3カ月間で40・3%の回復を見せていたため、2月比でも増産となっている。
工業界が回復基調にある事は正規雇用が4カ月連続で増えている事でも明らかで、生産量と共に生産高も伸びている。
8月の工業界の雇用や売上については、全国工業連合(CNI)が5日に月次報告で言及。8月の売上高は7月比で2・3%、昨年同月比で3・6%増え、パンデミック前の水準を超えた。ただし、今年の累計はまだ、昨年同期比で3・9%減となっている。
非正規も含む雇用は前月比で1・9%増え、季節調整後はパンデミック前の水準に近づいているが、昨年同月比ではまだ2・9%減だ。生産設備稼働率は78・1%で、季節調整後の数字は2月比で0・8%ポイント低いだけだという。