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《ブラジル》緊急支援金で貧困層が減少=一時的に1500万人も
ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)が9日、コロナ禍に伴う緊急支援金支給により、貧困者は8月までに1500万人減少したと発表したと同日付現地サイトが報じた。
FGVが行っている新型コロナ感染症や社会経済層などに関する研究によると、8月末現在の貧困者は昨年同期より1500万人(23・7%)少なくなった。FGVがいう貧困者とは、世帯所得が1人あたり最低賃金の半分(522・50レアル)以下の人だ。
FGVによると、8月末現在の貧困者はまだ5千万人いるが、この数字はFGVが同種の統計を始めて以来、最低だ。地域別の減少率は北東部30・4%、北部27・5%、南部13・9%、南東部14・2%、中西部21・7%だ。
年末までの緊急支援金支出総額は3220億レアルに達する見込みで、9カ月で9年間の生活扶助(ボルサ・ファミリア)支給分を費やす事になるという。FGVによると、これだけの額を一気に投入した例は、貧困者がこれほど減少した事と共に初めてだという。
他方、世帯所得が1人あたり最低賃金二つまでの層は、パンデミックで480万人減った。コロナ禍で所得は20%減っており、社会格差を示すジニ指数は拡大中だ。
貧困者は社会的隔離が困難なため、コロナに感染して働けなくなる例も多い。緊急支援金受給者は最大時には6700万人に達し、本来なら所得の中心となるべき給与所得は減少。所得が低い方から見て人口の半数にあたる人の所得は28%減った。コロナ禍で低所得者と高所得者が共に減ったため、中間層は2140万人増え、人口の約半分に達している。