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《ブラジル》小売販売=8月はコロナ禍前のレベルに=今年の累計ではまだマイナス=消費過熱でインフレも亢進

品不足と消費過熱で40%値上がりした米(9日付エスタード紙の記事の一部)

 地理統計院(IBGE)が8日、8月の小売販売は前月比で3・4%増え、コロナ禍前の2月と比べても8・9%上回ったと発表したと8、9日付現地紙、サイトが報じた。
 小売販売は3~4月に2・4%と16・7%縮小したが、5月以降は12・7%、8・8%、5%、3・4%と4カ月連続で増えている。
 8月は2000年の統計開始以来の好結果で、過去最高だった2014年10月比で2・6%増となった。3・4%という増加率は、今年の5~7月と2017年1月の4・1%に次ぐ5番目。7~8月も5~6月比で11・3%増で、2カ月間の新記録を更新した。
 8月は昨年同月比でも6・1%増となったが、今年の累積は昨年同期より0・9%少ない。直近12カ月間の累積は前期を0・5%上回った。
 8月の小売販売をけん引したのは、家具や電気電子製品で、2月の水準を24・2%上回った。建設資材も2月比で19・2%増え、建設と車・部品も含めた拡大小売販売を前月比で4・8%、昨年同月比で3・9%増に押し上げた。だが、拡大小売販売は今年の累積で5%、直近12カ月間で1・7%のマイナスとなっている。
 8月は、家具や電気電子機器、建設資材などの回復が著しい一方、書籍や雑誌、学用品は2月比で約40%少ないなど、回復度の差が大きい。

 政府が雇用維持に努めた事や緊急支援金給付で収入が増えた人が出た事、娯楽施設などが機能しておらず、娯楽費に充てていた金を家具購入などに充てる人が増えた事、在宅勤務でコンピューターやタブレットを必要とする人が増えた事、自宅での食事が増えた事などが小売回復を助けたと専門家は見ている。
 他方、緊急支援金減額や支給期間終了が近づいた事や食料品や飲料の値上がりに慌て、買いだめに走った事も小売販売増加に繋がったようだ。
 消費過熱と供給不足が重なると、物価上昇を招く。この事は、9日発表の広範囲消費者物価指数(IPCA)でも明らかだ。9月のIPCAは0・64%上がり、8月の0・24%高や昨年同月のマイナス0・04%を大幅に上回った。1~8月は昨年同期比で1・34%高、12カ月間では3・14%高で、政府目標下限の2・5%を超えた。
 9月の物価は、食料品費や交通運輸費など、9分野中七つで上がった。食品・飲料類は2・28%の値上がりで、27・54%上昇した大豆油や17・98%値上がりした米がけん引。大豆油は今年51・30%、米も40・69%値上がりした。トマトは11・72%、ロングライフ牛乳は6・01%、牛肉は4・53%値上がりしたが、玉ねぎやジャガイモ、ニンニク、果物は安くなった。
 交通運輸費は、ガソリンの1・95%高などで0・70%高くなった。ガソリンは9月のIPCAを0・09%ポイント押し上げたが、今年の累積では4・10%値下がりしている。
 サービスは8月のマイナス0・47%が、0・17%高に転じた。