新型コロナウイルスの感染拡大で大きく落ち込んだ経済活動が少しずつ回復基調に戻ってきているが、その度合いは業界毎に大きな差があると14日付現地紙が報じた。
イタウ・ウニバンコが分析した14部門の内、コロナ禍前の水準を超えたか、戻ったのは、農業、建設業、食料・飲料、テクノロジーを使う4部門のみだ。テクノロジーを使う部門には、アプリを使った配達業やインターネット販売などが含まれる。
他方、コロナ禍前の水準には至っていないが、回復の兆しが明らかなのは、被服や電気電子製品の製造販売などだ。
コロナ禍による経済活動の停滞は多くの企業の資金繰りを困難にし、融資を利用する企業急増を招いた。また、生産ラインの一時停止や集団休暇の導入、政府の政策に沿い、従業員を一時的に雇い止めにしたり、時短と減給で解雇を避けようとした企業も多い。
コロナ禍の影響は4月に底を打ち、5月以降は回復に向かい始めたというのは共通理解だが、これは連邦政府による緊急支援金の支給などに負うところが大きい。
在宅勤務や遠隔授業の増加などで、携帯電話やタブレットの需要が増えた事、自宅で食事を作る人が増えたり、緊急支援金が出ている間に買い急ぐ人が出たりした事で冷蔵庫などが、感染防止のために衣類を頻繁に取り換えたり、手洗いや入浴の回数を増やしたりした事で、衣類などが各々、需要増を見た。
業界によっては、コロナ禍による生産縮小後の需要増に即座に対応出来ず、在庫不足が起きたところが出たし、衣類増産のために綿花の価格が上昇するといった反動が起きたところもあった。
回復の遅れが目立つのは、観光業や航空業界、レンタカーを含む自動車業界だ。中には、業績回復でトラックなどを購入したいのに、製造部門が回復しきらず、入手が困難といった例もある。他方、14日には地理統計院が、サービスの量は8月に前月比で2・9%増えたと発表している。
コロナ禍の影響が最も少なかったのは農業で、穀物収量の新記録更新や、中国を中心とする世界的な需要増、レアル安で、輸出量も増えた。
食料品の製造販売は、2四半期連続で昨年同期比増を記録。コロナ禍の中で特に伸びたのは、麺類やビスケット類の製造販売だ。
建設業の業績改善は、政府の持ち家政策などが後押しする形の不動産販売の増加やリフォームの増加を反映している。リフォームの増加も緊急支援金の支給が影響しており、建設資材の製造販売の回復も促した。