ボルソナロ大統領が、2022年の大統領選には、現職のアミウトン・モウロン副大統領を副候補として選ばない考えであることを周囲に明かしていると、19日付フォーリャ紙が報じている。
フォーリャ紙が報じたところによると、ボルソナロ氏は、すでに3人の側近に、22年の大統領選にはモウロン氏以外の人物を副候補にして臨む意向だと話しているという。
モウロン氏を副候補に選んだのは軍の協力を得たいがためだったが、「モウロン氏との間で、完璧な信頼関係を築けなかった」と大統領が語っていたと報じられている。
2018年にモウロン氏を副候補に指名したこと自体に関しても、「苦肉の策だった」ことを明かしているという。ボルソナロ氏は大統領選の際に副候補の選出に手間取り、アウグスト・エレーノ現大統領府安全保障室(GSI)長官やジャナイーナ・パスコアル現サンパウロ州議に副候補の打診をしたが、断られていた。
大統領の側近たちによると、上院議員や下院議員の一間では、「モウロン氏の方が大統領にふさわしい」との評価があることも、大統領の神経を逆なでしていると言われている。大統領就任以降、ボルソナロ氏が反民主主義的な発言を行った時などは、モウロン氏が民主主義の大切さをマスコミに語る場面もしばしば見られていた。
政治的意見に関しても両者は食い違うことが珍しくない。大統領はその中でも、今年3月にモウロン氏が中国と、インターネットでの5GのWifi供給に関する会議を行っていたことや、一時は表に出なくなっていたモウロン氏が、最近は連日のようにメディアと語るようになっていることも意に沿っていないようだ。
大統領がモウロン氏以外を副候補に選ぶつもりであることは軍部にも伝わっており、軍関係者らが、モウロン氏に相応しい形で中央政権から離れる方法を模索しているという。
彼らが考えているのは、モウロン氏がリオ・グランデ・ド・スル州の知事選か上議選に出馬することだ。同州は同氏が陸軍の南部司令部を指揮した場所で、ボルソナロ政権の支持率も高い。
22年の副候補に関して、ボルソナロ氏は「セントロン系政党の福音派」を希望しているという。モウロン氏が所属している労働者刷新党(PRTB)は上院、下院に議員が1人もおらず、政局運営が不利になる原因ともなっている。
その場合、最有力とされているのは、自身の長男フラヴィオ氏と次男カルロス氏が所属している共和者(RP)だという。同党所属政治家で福音派と言えばマルコ・フェリシアーノ下議が有名だが、関係者たちは「その可能性は極めて低い」と見ているという。
大統領は、現政権の女性官僚と組むことにも好感を示していると言われている。その場合は、ダマレス・アウヴェス人権相、テレーザ・クリスチーナ農相が副候補となる可能性があるが、テレーザ氏の場合は、所属の民主党(DEM)がルイス・エンリケ・マンデッタ元保健相の大統領選出馬を視野に入れていることから、連立を組むのは難しいと見られている。