中銀が26日に発表した経済動向調査「フォーカス」によると、今年の国内総生産(GDP)予想成長率は先週比で0・19%ポイント改善したマイナス4・81%。新型コロナウイルスのパンデミック宣言後、初めてマイナス5%台を割ったと同日付現地サイトが報じた。
新型コロナウイルスの感染拡大は国内外に甚大な影響を及ぼし、ブラジルでは25日現在の感染者が539万4128人、死者は15万7134人に達した。また第1、第2四半期のGDPは、前期比で各々、2・5%と9・7%のマイナス成長で、リセッション(景気後退)に陥った。
中国は既にGDPが成長に転じた。だがブラジル金融界では、2月26日の2・8%成長との予測をピークに予測成長率が下がり始め、まだマイナス成長予測のままだ。
だが、6月30日のマイナス6・6%以降、徐々に上向き、今回はマイナス5%台を割った。来年のGDPは3・42%の成長が見込まれている。
フォーカスは100以上の金融機関のアナリストへの聞き取り調査の結果をまとめたもので、中銀や連邦政府の予測とは必ずしも一致しないが、市場が現状をどう見ているかを反映したものとして大きな意味を持つ。
連邦政府は9月、今年のGDP成長率はマイナス4・7%との予測を維持した。また、世界銀行は今月9日、ブラジルの今年のGDP成長率をマイナス5・4%に上方修正。国際通貨基金(IMF)も5日に、マイナス5・8%に上方修正した。
だが、経済活動回復は必ずしも良い事だけを意味しない。アナリスト達が、11週連続でインフレ予測を上方修正したのだ。今回のインフレ予測は2・99%で、先週より0・34%ポイント引き上げられた。
9月の拡大消費者物価指数(IPCA)は、食料・飲料費やガソリン代の値上がりなどで0・64%上昇。これは、9月としては2003年9月の0・78%以来の高い数値だ。
だが現在の予測はまだ、今年のインフレ目標中央値の4%は超えていない。また、来年のインフレ予測は3・10%に、0・08%ポイント引き上げられた。来年のインフレ目標中央値は3・75%だ。
食料品価格の値上がりが国民の懐を直撃している事は、大統領支持者が25日に「米が高く、我慢できない」と直訴し、「ベネズエラに行って買え」と言われたエピソードからもうかがわれる。
また、牛肉輸出が14%増えている事や、中国が9月にブラジル産大豆の輸入量を前年同月比で51%増やした事などは、国内価格に少なからず影響している。
なお、年末時点の経済基本金利(Selic)は現行の年2%のまま、来年は2・75%と予想されている。
年末時点の為替レートは、1ドル=5・35レアルの予想が1ドル=5・40レアルに引き上げられた。貿易収支の予測黒字額も、575億6千万ドルが580億ドルに上方修正された。
他方、外国人投資家の投資見込み額は、今年が500億ドル、来年も650億ドルのままだ。