モウロン副大統領が26日、法定アマゾンでの環境犯罪撲滅を目指す「ブラジル緑作戦第2弾」を来年4月まで延長する意向を表明したと26日付現地紙サイトが報じた。
緑作戦第2弾は法定アマゾンでの不法伐採などを監視・撲滅するためのもの。5月に発表されたが、予算解放の遅れなどで、活動期間が11月まで延長されていた。今回はさらに、21年4月まで延長される。
同作戦は法定アマゾンでの森林伐採や森林火災の増加に対する国際的な圧力の高まりに対する解決策として導入され、国境地帯や先住民居住地、国の環境監視機関、その他の国有地に軍兵士を派遣し、環境破壊行為を監視する事になっている。
だが、最初の2カ月間に解放された予算は3・8%で、思うように活動出来なかった。8月には予算解放が進んだが、24日現在も、4億1860万レアルの予算の内1億6490万レアルしか解放されていない。
同作戦を来年4月まで延長するには、特別なオペレーションを行うための軍派遣を規定する「法と治安保障作戦(GLO)」に関する大統領令の延長が必要だ。
モウロン副大統領は21日、社会経済開発銀行(BNDES)が開催した法定アマゾンの持続可能な開発に関する討論会で、法定アマゾンでの環境犯罪撲滅のための活動は22年末まで延長する必要があるとの考えを明らかにしていた。この発言は、現政権が終わるまでに法定アマゾンでの森林伐採を4~5千平方キロ/年程度に減らす事を念頭に置いたものだ。
副大統領は「法定アマゾンで最も懸念されるのは不法伐採」とも発言。コロナ禍故の困難はあるが、先住民居住区での鉱物採掘を含む環境犯罪監視活動は継続して行われている事も明言した。
副大統領の発言はボルソナロ大統領が法定アマゾンでの伐採や火災を否定した直後に行われており、政権内で環境問題に関する見解に温度差がある事を露呈した。現政権の環境政策は国際的な批判を呼び、法定アマゾン保護のための国際的な資金援助も止まった。欧州連合(EU)と南米南部共同市場(メルコスル)との自由貿易協定承認にも黄信号が灯っている。
20日に出た国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)の消防士帰還命令は、環境省や環境監視機関への予算解放の遅れが原因だ。法定アマゾンなどでは昨年来、環境犯罪の監視が滞りぎみで、懲罰も実質的に適用されていない。
また、Ibamaなどの環境監視機関や非政府団体などの環境保護活動に使われるアマゾン基金も昨年来、40件のプロジェクト(14億900万レアル分)の審査を凍結しており、最高裁が23日から同基金に関する公聴会を行っている。
9月の法定アマゾンの森林伐採は964平方キロで、昨年の1454平方キロよりは減ったが、15年以降では2番目に多い。22日までの法定アマゾンでの森林火災は8万9604件に達し、昨年1年間の8万9176件を既に超えている。