サンパウロ市市長選に出馬しているセルソ・ルッソマノ氏の所属政党・共和者(Republicanos、RP)のサンパウロ州支部が、ウニベルサル教会によるサンパウロ市公職の私物化を行った上、サンパウロ市近郊のアルジャー市、エンブー市では国内最大規模の犯罪集団、州都第一コマンド(PCC)と蜜月関係にあるといった疑惑が発覚した。29日付フォーリャ紙などが報じている。
ルッソマノ氏は選挙キャンペーンのたびに「不正を行ったことがない」と、クリーンな姿勢を訴えてきた。そのため、過去2度のサンパウロ市市長選ではいずれも3位に入り、今回も「自分は(ブルーノ・コーヴァス市長の)民主社会党(PSDB)の汚職とも無縁だし、コロナウイルス対策の医療機器をめぐるスキャンダルにも関与していない」と主張。現職市長と支持率の1、2位を争っている。
だが、ルッソマノ氏が所属するRPのサンパウロ州支部は、州内において、福音派のウニベルサル教会の関係者で市内の重要な機関の要職を独占させているだけでなく、PCC関係者を要職に就けることも珍しくないという。RPはユニベルサル教会にとって、政界との間をつなぐ右腕的存在だ。
サンパウロ市内の例で言うと、同党はコーヴァス市長の市政とつい最近まで協力関係にあり、市予算の大きな部分を占める住宅局や、葬儀公社、イタイン・パウリスタ区役所の三つをウニベルサル教会の関係者などで独占させていたという。
住宅局元局長のアロイージオ・ピニェイロ氏はウニベルサル教会と関係があり、局長時代に事業契約を結んだ企業や技術支援を仰いだ企業の給与明細を調べると、同党の党員やウニベルサル教会の牧師や信徒、政党幹部の親戚などの名前が続々と出てきたという。
同党は事業契約での不正を否定しているが、住宅局内の書類からは、局長からの推薦で、住宅局の承認もとった形の契約書が回ってきていたことが明らかだという。
葬儀公社もサービスの質が悪く、コーヴァス市長は廃止・民営化を求めていたが、RPが頑なに存続を求めていたという。同公社はRP役員の独占期間中、サービスの質ゆえに、市民からの批判の対象となっていた。イタイン・パウリスタ区役所でもマーケット経営者に30万レアルの賄賂を払わせていた疑惑で、職員が逮捕されている。
一方、PCC関連では、サンパウロ市近郊のアルジャー市でRP関係者とのつながりがあったことが問題となっている。同市では保健局の役職や入札、ゴミ清掃などの関係者がPCCで独占されて問題視されてきた。これは、RPのマルシオ・オリヴェイラ副市長が、2016年の市長選でジョゼ・ルイス・モンテイロ氏とのシャッパに対し、PCC大物幹部のゴルドに献金を頼んだところ、交換条件としてつきつけられたことだったという。オリヴェイラ氏はこの容疑で7月30日に逮捕されている。
さらに、エンブー・ダス・アルテス市でも、RPのネイ・サントス市長がPCCから選挙献金を受けた容疑で2018年に一度、罷免されている。同市長は同年中に復職したが、2014年から17年に行われたとされる資金洗浄の容疑で2019年も5日間の免職処分にあっている。
オリヴェイラ、サントス両氏ともに、現在は被告扱いだ。
RPは大統領の長男フラヴィオ氏、次男カルロス氏の所属政党でもある。大統領はルッソマノ氏を支持していたが、最近行われた世論調査で支持率が落ちたため、ルッソマノ氏はキャンペーンで大統領の名前を出さなくなっている。