新型コロナの感染拡大に伴う景気後退(リセッション)後、外出規制緩和による経済活動の再開と緊急支援金支給による購買力向上、買い急ぎによる需要増と品不足などでインフレが進んでいるが、この状態は少なくとも6カ月間は続くという予想が出ている。
中央銀行は現在のインフレは、緊急支援金の減額や支給停止を前にした買い急ぎなどが拍車をかけたもので、一時的なものとの見方を示している。
だがアナリスト達は、ドルがかつてない水準で高止まりしている事や景気回復に向けた動きが当初予測より強い事、品不足による原材料値上がりなどで生産が追い付かない事などで、インフレは続くと見ている。
この予想を裏付けるように、より利益率の高い国外に農産物を売ろうとする農家が増えている。このような状況だと、国内市場に出回る食料品が品薄になったり、輸出用に回すのと同等の利益率を保証するために高値で買い取る必要が生じたりして値上がりを招く可能性がある。
また、ラニーニャ現象や森林火災多発といった要因で、生産量が左右される可能性も否定できない。
専門家の中には、穀物を中心とした食料品の値上がりは、中国による輸入増加に伴うコモディティ価格の高騰といった構造的な理由もあると指摘する人もいる。
このような視点で見た場合の「一時的」は次の収穫期までを意味しうるため、2021年第1四半期末までは、農産物の品不足やそれに伴う価格上昇が続く可能性が大だという。
大豆の代表的な生産地である中西部が50年に1度ともいわれる干ばつに襲われている事は、大豆の作付や収穫の遅れを招き、例年なら年末が最も盛んな収穫が2月頃にずれ込む見込みだ。今年の収穫分は95%が輸出に回される見込みで、国内価格はさらに上がる可能性があるという。
大豆とトウモロコシのレアル建て価格は今年、85・99%と70・45%値上がりした。ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)は先物買いなども考慮し、食料品価格のインフレは第4四半期では終わらず、来年も続くと予想している。
工業製品についても、原材料費の値上がり分やドル高騰による値上がり分が商品価格に上乗せされれば、10月以降、来年3月にかけての拡大消費者物価指数(IPCA)を0・30~0・40%押し上げるとの見方が出ている。
予防接種が完成し、経済活動が本格的に再開すれば、石油や派生品の需要が高まり、価格が上昇する可能性がある上、経営・管理部門の経費増分が種々の価格に上乗せされれば、インフレはさらに上昇するとの見方も出ている。
国内の金融機関のアナリストらは、来年のIPCAは3・50%程度と予想している。(3日付エスタード紙より)