【既報関連】宮城県人会(上利エジガー会(かい)長(ちょう))、埼玉県人会(吉田章則会長)、東京都友会(鈴木ワグネル会長)の3県人会は、9月12日に行った「ドライブスルー屋台祭り」の利益とおもちゃを渡しに、日系児童福祉施設「ラール・サント・アントニオ(lar santo antonio educacao e assistencia social)」へ10月11日に行った。「屋台祭り」であげた利益、約4000レアルと寄付で集まった子供向けの玩具や教科書、古着などが寄付された。
施設代表の修道女、ハマサキ・ヴェロニカさん(二世・55歳)は「コロナ禍でどこも大変な時に、寄付をいただき本当にありがとうございます。この頂いた玩具は児童達の『子供の日』のプレゼントとして、お金は施設の運営費として使用します」と深謝した。
ラール・サント・アントニオは、サンパウロ州ビリチバ・ミリン市に在る日系のカリタス修道女会が1981年に設立した非営利団体児童福祉施設だ。同会は1967年にサンパウロ市サウデ区に、その翌々年69年にはヴィラ・カハオ区とヴィラ・ソニア区に幼稚園を設立した。
さらに81年にラール・サント・アントニオを立ち上げた。同施設立ち上げ当初は日本人移民の子供をサポートする為だったが、年月とともに日系人の生活が安定したことから日本人向けでなく非日系ブラジル人向けの施設になり、現在も福祉活動を行っている。
この福祉施設は犯罪や薬物、虐待などに手をそめ刑務所に服役している親の子供や、犯罪に手を染めた18歳までの児童に食事や住む場所を与え、その児童が社会復帰できるようケアをする活動SAICA (Serviço de Acolhimento Institucional para crianças e adolescentes)を行う。
ハマサキさんは「家族や本人に問題がある児童は、ここで預かっています。その間に私達が児童の家族や親戚と面談をし、預け先を探します。18カ月以内に見つけることを目指していますが、受け入れが困難な家族だった場合は、期限の延長や養子を探すケースもあります」と語る。
以前は50人までの児童をサポートしていたが、1990年コロル政権時代に、児童や青年の人権を重んじる法令ECA(Estatuto de Criança e Adolescente)が制定されたことにより、地方自治体の法整備が少し進んだという。
ハマサキさんは「昔はビリチバ・ミリン市以外からも児童を受け入れていましたが、現在は自治体が14人までに定めました。その結果、今では一人一人の児童が自立した生活ができるような指導が可能になっています」と述べ、「法整備で受け入れ人数が減ったことで、より児童と向き合うことができて、その家族と本人の問題解決に専念できるようになりました」と語る。
SAICAとは別に同施設は児童自立支援の役割(Serviço de convivência e fortalecimento de vinculo)もあり施設内で勉強やスポーツ、遊びなども体感でき、児童の自立に向けた生活指導も行われている。
現在はコロナ禍の為、この活動は中止しているが、普段は毎日150人程の児童が自治体のバスに乗ってこの施設に訪れるという。
「生活指導は児童の人権を尊重しながら面談などを行い、児童や家族のどこに問題があるかを一緒に見つけ、指導しています。この周辺は貧しい児童の犯罪や麻薬中毒者の問題もあり、そんな子供達を救済する行動をしています。今回の玩具や寄付物などは、そんな子供達の家に配るので本当に助かります」と笑顔で語った。
埼玉県人会のアドリアーナ・ミエコさんは「コロナでどこも大変ですが団結することによって、コロナ禍を皆で乗り越えることが重要だと再確認しました」と語る。
東京都友会会長代理のオオハシ・フジタ・プリシラ・アヤさんは「私が勤めるHOSS建設もこの施設に寄付を行っていて、私自身も今回が2回目の訪問です。実際に目で見て話をきくと更に寄付の必要性がわかりますね」と語る。宮城県人会のエジガール会長も「施設で現状を目の当たりにすることで、本当にこの寄付を行ってよかったと感じました」と述べた。