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《ブラジル》農業生産者がインフラ投資=PPPで高速道路や港の整備

バイア州内陸部での公道の舗装工事(9日付エスタード紙の記事の一部)

 マット・グロッソ州やバイア州、パラナ州などの農業生産者らが、組合を作り、高速道路舗装化などのインフラ整備に投資していると9日付現地紙が報じた。
「PPP caipira」(地方版官民連携)と呼ばれている。
 新型コロナの世界的な流行の中、農産物の需要は高まり、コモディティの国際価格が急騰。多くの産業で活動が縮小する中、一人気を吐いているのが農業界だ。だが、ブラジルでは農産物輸送に必要な交通網の整備が遅れ、輸送の時間や経費が余分にかかるため、国際的な競争力が削がれている。
 今年は特に、新型コロナの感染拡大で連邦政府や州政府などの経費が増え、高速道路や水運用の港の整備に回す資金が枯渇。このような現状を打破するため、農業生産者達が協同組合を作り、農産物の輸送に使う道路の舗装化などのインフラに投資し始めたのだ。

 バイア州西部ルイス・エドゥアルド・マガリャエンスのエドアルド・デル・ミシエル氏は、自分の地所の脇を走る公道の舗装を心待ちしている一人だ。道路が舗装されれば、地所の価値が上がる上、機械やトラックを使ったり、農産物を輸送したりする際の経費が減り、収益率が上がる。
 雨の日に国道20号線を使って25キロ先の集積所に行くには1時間かかるが、舗装されれば時間は半減。「輸送費は10~15%安くなる」と同氏は見ている。
 協同組合が取り組んでいるのは陸上輸送のインフラ整備だけではなく、ボリビアとの国境にある港のような水運網の整備もある。公共事業の4割が資金不足で遅れる中、農業生産者らの組合が連邦政府などと行う官民合同プロジェクト(PPPカイピーラ)が、農業部門を支える全国プロジェクトとなりつつある。