【既報関連】ブラジル北部のアマパー州全域で3日に始まった大停電は、9日時点で全面解決には程遠く、医療などの生活必需サービスも一部が回復したのみだ。裁判所は7日夜、3日以内の解決を命じたが、住民の抗議行動は続いていると、7~9日付現地紙、サイトが報じている。
同州での広域停電は州都マカパーにある変電所で起きた落雷による火災が原因で、水の供給や医療サービス、電話などの通信サービスも止まり、州内16市中人口の9割が住む14市で停電が起きた。
鉱山動力省は8日、7日現在の電力供給回復率は65%で、10日間で正常化の見込みと発表した。だが実際には供給回復とされる地域でも安定した電力供給は受けられていない。
州民の窮状や事態の深刻さを重く見た同州連邦地裁は7日夜、変電所の責任者の多国籍企業イゾルックスに対し、3日以内に電力供給を正常化させる事と、命令に従わなかった場合は1500万レアル/日の罰金の支払いを命じた。
司法当局は同社に対し、電力供給回復のための計画書を12時間以内に提出する事を命じ、10日に変電所を視察する事も通達した。
裁判所は鉱山動力省とエレトロブラス、エレトロノルテ、イゾルックル並びにアマパー電力公社(CEA)にも12時間以内に対策確立を命じた上、連邦会計検査院と連警にも捜査を命じた。
水の供給に関しては空軍機が8日朝、同州第2の都市サンタナに、連邦政府調達の大型発電機2機を届けたが、州全域への水の供給正常化は程遠く、スーパーなどの店頭からは食料も飲用水も姿を消した。
各地では近隣州などから送られた飲用水購入のための列ができている上、一部住民は井戸を掘ったり、雨水などを使ったりしてその場を凌ごうとしている。
電力が使えず、食料の確保や保存が難しいため、食料販売も輪番制となるなど、住民の生活は困窮を極めている。電力や水、食料、医療サービスといった生活に不可欠の物資やサービスも確保できない現状に不満を覚えた州民達は、発電機を持つガソリンスタンドなどで携帯電話に充電するなどして現状に対処する一方、抗議行動を繰り返している。
電力供給は、変圧器の修理やコアラシ・ヌネス発電所からの供給強化で7日から徐々に回復し始めた。州政府は8日、電力供給の7割は回復と発表したが、回復したとされる地域も最低6時間単位で順番に電力を供給する輪番制で、安定供給とは言い難い。輪番制採用は8市で始まり、徐々に拡大中だが、市中心部には電力が来ても、貧困層が多い郊外には来ていない市もある。
同州は新型コロナの感染者増で選挙キャンペーンも制限されている状況下での広域停電に苦しんでいる。同州選挙地域裁は6日、市長・市議選は予定通り行う事を確認したが、ランドルフェ・ロドリゲス上議(レデ、アマパー州選出)は9日、選挙を行える状態ではないとして、改めて選挙延期を求めた。
やはり同州選出のダヴィ・アルコルンブレ上院議長は9日、イゾルックスの営業許可はく奪とエレトロブラスによる変電所運営を求めた。