新型コロナのパンデミックは植物や花の栽培や販売にも様々な影響を及ぼした。3月は損失や解雇続きで悲観的な見方が主流だったが、今は今年は昨年より最低5%の売上増と見られている。
ブラジル植物栽培研究所(Ibraflor)がサンパウロ州内陸部オランブラ市で行った評価によるもので、デリバリー形式の採用や、外出自粛期間も営業出来るスーパーでの販売に力を入れた事、在宅勤務増で消費者の習慣が変わった事などが、植物や花の栽培の業績回復を後押したという。
外出自粛で自宅にいる時間が延び、室内装飾に目を向けるようになって花や植物を買い始めた人や、社会的な距離を保つため、母の日や恋人の日に花の配達を頼む人が増えているのだ。
同研究所は、花や植物の栽培と販売がパンデミックで過熱したと結論付けた。デリバリーなどによる販売増は、フェスタやイベントのキャンセルで生じた損失を補って余りあるという。
1、2月と3月はじめの花や植物の栽培と販売は順調で、昨年実績を10~15%上回ると予想されていた。だが、パンデミックが始まった3月後半から4月は非常に困難な時期を過ごした。上半期の終わりには回復の兆しが見え始めたが、その頃はまだ、昨年の実績を完全に下回っていた。
状況が変化し始めたのは7~8月で、3月以降に生じた損失分を取り戻すと、昨年実績とトントンになった。このまま行けば、5%程度の売上増は固いという。
規制緩和が進み、墓地訪問が認められた事は、「死者の日」の売上回復をもたらした。死者の日に花が売れ残ったのは、墓地訪問が認められていない町だけだったという。
全国の花や植物の生産者は8200件、栽培面積は1万5千へクタールで栽培品種は3千種以上だ。昨年の業界の売上は87億レアルで、従業員は20万人に及ぶ。
オランブラ地方は装飾用の花や植物の栽培が全国一で、販売量も全国一だ。パンデミックの中で最も成長したのは花が咲かない緑の観葉植物で、販売交渉量は20%増えた。
屋内環境によく適応するドラセナを栽培するロジェル・ショルテン氏は、パンデミック初期の恐怖と損失の時期を越えた後は状況が好転したと実感している。同氏は「フェスタやイベントに特化していた生産者は今も不況に悩んでいるが、ドラセナは例外的に需要が増え、客の要求する品種を栽培していなかったために商談を失う経験までした」という。
同氏は、「ブラジル人はドラセナが気に入っており、生産者も増えた。需要増はまだ続く」と見る。また、「ドラセナは植え付けから出荷まで4カ月位だから、苗の栽培と生産性向上に注力すれば年間を通じた商売が可能になる」「土地や設備の有効利用で、現在は10万鉢の生産量を倍増できる」と考えている。
ただし、同州カンピーナス市の市場での1~9月の花や植物の販売量は、昨年同期比で23%減の8・1トン。市場内のボックス数は28%、売上は1億370万レアルが2820万レアルに72・85減った。同市市場の売れ筋は、バラの切り花、サボテン、蘭、スパイス、芳香性のハーブなどだ。(8日付エスタード紙より)