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《ブラジル》急死した市長が“当選”=投票日前夜で氏名変更できず

エステヴェス氏の死と再選を伝える16日付G1サイトの記事

 15日に行われた統一地方選の一次投票で、前夜に亡くなった現職市長が再選を果たした。投票機は既に変更ができない状態となっていたため、亡くなった市長が獲得した票の行方や次期市長が誰になるのかに市民が注目している。
 投票前夜の14日夜に亡くなったのは、ミナス・ジェライス州パッサ・クアルト市のアントニオ・クラレット・モッタ・エステヴェス市長(緑の党・PV、62)だ。エステヴェス氏は2週間前に心筋梗塞を起こして入院していた。
 同氏は28歳だった1986年に、パッサ・クアトロ市では最年少の市長に選ばれた。その後も、市議や市議会議長、副市長などを歴任。市長にも2度当選していた。
 同氏の葬儀は15日朝6時に始まり、午前11時に市議会まで移送された。遺体は市議会での顕彰後、市営墓地に埋葬された。 
 エステヴェス氏は再選を目指していたため、緑の党は死亡直後に、エンリケ・ノゲイラ・ゴンサルヴェス氏を市長候補、マルコ・トレス氏を副市長候補に変更する手続きを行った。

 だが、投票機は既に封印されており、選挙裁判所の判事も候補者名を入れ替える事ができないまま、選挙当日を迎えた。
 開票の結果、エステヴェス氏は60・8%にあたる5638票を獲得し、3302票(35・61%)を獲得したベチニョ・パイヴァ氏(民主党・DEM)や333票(3・59%)を得たDr・アレジソン氏を抑えて再選を果たした。だが、本人は既に死亡しており、候補の入れ替えが認められるか否かが衆目を集めている。
 通常は、投票日の前20日以内に候補者が死亡した場合は別の候補者との入れ替えが可能性だ。緑の党は正規の手続きを踏んだが、投票機の中のデータを入れ替える事ができなかったため、投票所へ行った市民の前に提示された候補名はエステヴェス氏のままだった。
 選挙裁判所は今後、同件をどのように扱うかを検討する。緑の党からの候補者入れ替え要請が認められれば、同党候補が当選となるが、要請が受け入れられなかった場合はエステヴェス氏が獲得した票は無効化される。
 当選後の死亡の場合は自動的に副市長候補が市長に昇格となるが、投票前夜の死という状況が票の行方を不明瞭にしている。(15、16日付G1サイトより)