ブラジル北東部リオ・グランデ・ド・ノルテ州の有名景勝地「ピッパ海岸」で、崖の一部が崩壊する事故が起き、親子3人が巻き込まれて死亡した。
ピッパ海岸はリオ・グランデ・ド・ノルテ州が誇る観光名所の一つで、「天然の水族館」と言われるほど浅瀬の水がキレイで、州内外の人が訪れる。
崖崩壊が起きたのは17日の昼前で、休日を家族で過ごしていたホテルマンの男性らが即死した。
死亡したのは、サンバイ・ホテルの受付主任のウーゴ・ペレイラ氏(32)と妻のエステラ・ソウザ氏、生後9カ月の息子だ。ペレイラ氏はサンパウロ州ジュンジアイ市出身で、数年前から同州に住んでいたという。
事故の瞬間を目撃したイーゴル・カエタノ氏は、ペレイラ氏の一家が崖の傍に座っていたのに気づき、消防に通報すると同時に、犠牲者の救助を試みた。
最初に見つかったのはペレイラ氏の遺体で、エステラ氏の遺体がそれに続いた。エステラ氏は事故の瞬間に息子を胸に抱え込んでおり、救出時、男児はまだ息が残っていたという。
カエタノ氏らは折よく通りかかった医師に蘇生術を施すよう求めたが、男児も間もなく、息を引き取った。
この海岸の崖は海の波が寄せては返すため、波打ち際がえぐられ、崖の上部が崩れやすくなっている。現場では16日の昼過ぎもかなりの大きさの砂岩が崩れ落ちたといい、地元の人達は常に、気を付けるよう呼びかけていた。
エステラ氏のいとこのジョアン・マリーニョ氏によると、ペレイラ氏夫妻は飼い犬共々、事故に巻き込まれ、救急隊が駆けつけた時はもう、なす術がなかったという。
マリーニョ氏によると、崖の崩壊は昔から起きているが、近年は波が高く、崖の崩壊がより頻繁に起きるようになっているという。旅行客はよく、日陰を求めて崖の傍で休みたがるため、気が付いたら「危ないから崖から遠ざかるように」と忠告していたという。
チバウ・ド・スル市市役所も危険を知らせる看板を立てているが、満潮になると看板が流されてしまうという。同市通信局のファビオ・ピニェイロ局長によると、死亡した夫妻は、事故の直前に市の監視員から忠告を受けたが、その直後に事故が起き巻き込まれたという。
チバウ・ド・スル市は、海岸や郷土食、文化イベントなどで知られており、観光シーズンのピッパ海岸は1日に7千人が訪れていた。同海岸はパンデミック後も訪問禁止措置がとられていないが、現在は観光客数を集計していないという。(17日付G1サイト、同エスタード紙電子版などより)