《ブラジル》労働市場=コロナ禍で人種間格差が拡大=12年以降最大の5%P超=学歴差減っても所得差開く

新型コロナの感染拡大で失業者が増える中、労働市場での人種間格差が拡大したと20日付現地紙が報じた。
コロナ禍の中、ブラジルでの失業率は14%台に達した。一部の業界では経済活動再開で業績が上向き始め、雇用も回復に向かっている。その一方で、感染拡大が顕著だった時は求職を諦めていたが、経済活動再開で職を探し始めた人がいる事と、感染再拡大の動きがある事で、雇用状況はさらに悪化する可能性もある。
人種に性別や年齢、居住地域も重ねた場合は失業率がより高いグループが出て来る。コロナ禍での失業者のプロフィールは北東部に住んでいる黒人で若い女性とされているが、20日は「黒人の意識高揚の日」であるため、現地紙の記事では人種間格差に焦点が当てられている。
9月現在の全体の失業率14・0%に対し、白人や黄色人種、先住民(以下、白人)の失業率は11・5%、黒人や褐色(以下、黒人)の失業率は16・1%で、人種間格差が拡大した事が明らかになった。
コンサルタント会社LCAによると、6月現在の失業率は13・3%だが、黒人は15・8%、白人は10・4%で、黒人と白人の差は5・45%ポイントに達した。5~9月の全体の失業率は3・3%ポイント上昇したが、黒人の場合は4・1%ポイント上昇している。
同社が地理統計院(IBGE)の全国家庭サンプル調査とコロナ禍専門の統計調査から作成した資料によると、この数値は2012年3月の統計開始以来最大だ。15年までの格差は3%ポイント強が2度あったが、それ以外は3%ポイント以下だった。だが、16年以降は常に4%ポイントを超えており、17年3月と今年6月は5%ポイント以上となっている。
黒人は非正規雇用が多く、収入が不安定で、平均所得は白人より低い。コロナ禍に伴う社会的な距離の確保や外出自粛で働けなくなった人も黒人の方が多い事は、4~6月に非正規の黒人労働者が24・9%減った事、黒人女性が多い家庭内労働者が24・6%減った事でも明らかだ。
6月現在の黒人と褐色、先住民の女性の失業率は18・2%に達した。この時の白人女性の失業率は11・3%、白人男性の失業率は9・5%だった。
ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)社会政策センター理事のマルセロ・ネリ氏によると、黒人の就学年数は14~19年に12・1%伸び、7・5%だった白人との学歴差は縮まったから、失業率の差は偏見によって生じた可能性がある。
黒人労働者が多い職種はテレマーケティングや清掃、警備、建設など、給与が低いものが多い。同期間中の平均所得は、黒人が4・9%減、白人は1・8%増だった。
人種や所得の差は子弟の教育にも影響する。IBGEによると、8月に自宅学習用の教材を受け取れなかった子供の割合は、黒人17・3%、白人8・3%だった。