ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》障害持つ労働者は2万人以上減少=コロナ禍の正規雇用失業者の4%以上

《ブラジル》障害持つ労働者は2万人以上減少=コロナ禍の正規雇用失業者の4%以上

ソアーレス氏(左)とキント氏(18日付G1サイトの記事の一部)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済活動の落ち込みで、時短・減給などの雇用維持政策が導入されてもなお、失業率が上昇し、働きたいのに働けない人が増えているが、職を失った正規雇用者の4%以上は何らかの障害を持つ人達だった事がわかった。 
 労組間社会経済調査・統計所(Dieese)が全就労・失業者台帳(Caged)のデータを解析してまとめ上げた「障害者と労働市場への取り込み」と題するレポートによると、1~9月は障害を持つ正規雇用者が7万3500人余り解雇された(解雇者全体の0・6%)が、この間に採用された人は5万1900人足らずで、障害を持つ正規雇用者は2万1666人減少した。
 この数字には、正規雇用者で解雇されたが、障害の有無の記載がなかった人(全体の0・3%)は含まれていない。
 Dieeseによると、障害を持つ正規雇用者は18年が48万6800人、19年が52万3400人と、増加傾向にあった。それでも、法律で定められた障害者雇用枠の50%しか満たしていなかったという。
 今年の場合、障害を持つ正規雇用者数減少は1月から始まっており、3月から加速化した。しかも、コロナ禍で失った枠の回復は8月からで正常者より遅い上、回復のペースもより緩やかだという。正規雇用者純減は3月からで、7月には純増に転じている。

 Dieeseのエコノミスト、レアンドロ・ホリエ氏によると、19年の場合、障害を持つ正規雇用者は正規雇用者全体の1%強だったが、今年に入ってからの正規雇用者減少数に占める割合は4%以上で、障害を持つ人達を取り囲む環境は正常者以上に厳しい事が明らかだという。
 身体障害と聴覚障害を持つタチアネ・ラモス・キント氏(29)は、自動車工場で7カ月働いていたが4月に解雇された。「本当は切りたくないんだが、他に方法がないんだ」と言われて解雇に応じた。だがハイリスク・グループでもあるため、当面は仕事には戻れないという。
 彼女によると、管理部門や製造部門なら求人もあるが、最低賃金二つ以上の仕事を見つけるのは困難で、リーダー格の仕事はなお難しいという。
 非政府団体の事務職補佐として5年間働いていたウエルベルソン・ソアーレス氏(48)も、2月に解雇された。同氏は軽度の知的障害と言語障害があり、ハイリスク・グループでもあるが、生きていくためにと職を探している。
 ソアーレス氏は管理部門での仕事に関する講座も受けており、それを活かせる事務所などを希望しており、「理論的な事は苦手だが、仕事のやり方さえ教えてくれれば、すぐに順応できる」事を自負しているが、「障害者はボーナスよりも負担だ」と考え、障害者の技量や持ち味を認めようとしない人が多いという。
 Dieeseによると、障害を持つ正規雇用者は少数派で、大半は非正規雇用だという。(18日付G1サイトより)