【既報関連】15日に行われた統一地方選第一次投票の開票作業中、選挙高裁のコンピューターがハッカー攻撃を受けた件で、連邦検察庁のレナト・ブリル・デ・ゴエス副長官がアウグスト・アラス長官に捜査報告書を送付したと23日付エスタード紙が報じた。
15日は選挙高裁のコンピューターのトラブルが3回起きた。最初は同日午前9時頃に同裁の公式サイト内の機密エリアの情報がツイッターに流されたもので、ポルトガル在住の通称「ザンブリウス」というハッカーが関与を認めた。
2回目は午前11時頃で、43万6千回/秒のトラフィックを発生させて選挙高裁サーバーやサイトを停止させる攻撃を何者かが仕掛けたために、サイト上のサービスが事実上停止した。そのせいで選挙不参加理由を申請するアプリのダウンロードなどができなくなった。ザンブリウスはこの行為にも加担していた。
最後は、電子投票機のデータ解析用のスーパーコンピューターのトラブルだ。スパコンは3月に購入したもので8月に納品されたが、パンデミックのため、全てのテストを行えないまま投票日を迎え、プロセッサーの一つで不具合が起きた。
今回の選挙では選挙高裁で一括集計を行った事とスパコンのトラブルが重なり、開票作業が予定より2時間半余り遅れた。
選挙高裁は16日、スパコンの責任者のオラクル社にトラブル解決を命じると共に、連警にハッキング捜査を命じた。
ザンブリウスのハッキング関与は20日付エスタード紙が報じた。ゴエス検察庁副長官は同日、アラス長官にその他の捜査報告書を送っている。
23日付エスタード紙によると、アラス氏への報告書送付は、捜査対象者に、フェリッペ・バロス、エドゥアルド・ボルソナロ、カルラ・ザンベリ、ビア・キシスの現職下議4人が含まれているからだ。4人は全員、社会自由党(PSL)所属で、ボルソナロ大統領の熱烈な支持者だ。
ザンブリウスが極右の大統領支持者と接触していた可能性は20日付エスタード紙も報じていたが、ゴエス氏は、選挙高裁のコンピューターへのハッキングや大量アクセスは選挙法違反ではなく、公共サービスに対するサイバー攻撃として扱うよう進言している。
選挙高裁へのサイバー攻撃対策を担当するサーファー・ネット・ブラジル社も、今回の攻撃は現行選挙システムへの信頼を揺るがそうとする政治的な魂胆によるものである可能性を指摘。開票・集計作業は投票後の最終作業で、自由で清潔な選挙を保証するのに不可欠との認識を示した。
ビア・キシス下議は、「ハッカー攻撃と開票の遅れは紙によらない投票システムの脆弱さの証拠だ」と表明。ボルソナロ大統領は電子投票の信頼性を疑い、紙による投票を擁護している。
他の下議らも「選挙システムの安全性を問う事もできない」「開票作業に同伴できないシステムを信じろと言うのか」などとして信頼性への疑問を投げかけたが、選挙高裁は全工程の透明性とスパコンへは侵入されていない事をあげ、選挙の正当性と信頼性を強調している。
ワッツアップは選挙運動期間中の9月27日~11月15日に、選挙干渉を目的とした1千件以上のアカウントを差し止め、フェイスブックも14万点以上の内容を削除している。