ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》コロナ禍=感染拡大が5月水準に逆戻り=「第2波始まった」専門家見解も=予防接種関連審理も始まる

《ブラジル》コロナ禍=感染拡大が5月水準に逆戻り=「第2波始まった」専門家見解も=予防接種関連審理も始まる

Rtについて報じた24日付G1サイトの記事の一部

 新型コロナウイルスの感染拡大傾向が強まり、英国のインペリアル・カレッジが算出する「実効再生産数(Rt)」が1・30に戻ったと24、25日付現地紙、サイトが報じた。
 感染症流行下(感染拡大抑制努力を実施中または抗体を持つ人が既にいる状態)で1人の患者が直接感染させ得る人の数を示すRtは、17日発表の1・1を上回り、5月24日の1・31以来の高さとなった。誤差を考慮した際のRtは0・86~1・45だ。
 ブラジルでのRtのピークは4月26日発表の2・81で、5月10日にやや大幅の上昇を記録した以外は小幅な上下動を繰り返しつつ、低下していた。だが今月に入ってからは17、24日と連続で上昇している。
 ここ2週間は感染者や死者が増加する州が増えており、集中治療室を含むコロナ専用病床の占有率が軒並み上昇。専門家からは、検査が充分に行われていない事や中央政府が主導する具体的で効果的な対策の不足、経済再開を重視し、充分な現状分析を行わないままに規制緩和を行って社会的な距離の確保を怠った事で、第2波が起き始めたとの見解も出始めた。
 この見解は、サンジョアン・デル・レイ連邦大学、バイア州サルバドール構内教育・科学・技術連邦研究所、サンパウロ連邦大学、バイア州立大学、ブラジリア大学の研究者が22日付で作成した、「ブラジルでの新型コロナ感染症のパンデミックの現状」という報告書に記載された。

 ブラジルでは第1波さえ未収束という人がおり、第2波到来に関する見解には差がある。だが、オズワルド・クルス財団が21日までのデータを基に作成した報告書によると、15~21日は重篤な呼吸器系疾患(SRAS、英語表記はSARS)の患者が7月以来の増加数を記録。SRASは他のウイルスによっても起こるが、今年の場合は98%が新型コロナウイルスによるものだ。
 コロナ感染症の患者や死者が増えている州の対応は各々で、サンパウロ大都市圏などで入院患者増加を記録しているサンパウロ州は23日、30日に規制緩和計画を見直すと発表。リオ州は急がない手術延期と一斉検査の実施を決めたが、商業施設は閉鎖しない方針を打ち出した。
 他方、連邦政府は連邦会計検査院(TCU)の要請に反し、未だに予防接種の購入や実施に関する計画書の提出を拒み続けている。同件に関しては、12月4日に最高裁での審理が始まる。
 同件報告官のリカルド・レワンドウスキー判事は24日、予防接種に関する計画書の30日以内の提出に前倒しで賛成票を投じた。同判事は、予防接種ワクチンの開発と世界的な協調がなければ、新型コロナのパンデミックは1918~20年のスペイン風邪並みに長期化する可能性があると明記。複数の予防接種ワクチンの使用検討は国の義務で、特定のワクチンを破棄する事は不適切な対応とした上、購入に際しては、安全性や有効性、経済性のみを考慮すべきとも論じている。
 4日からの審理では、ボルソナロ大統領がコロナバックの購入をキャンセルさせた件と30日以内の計画書提出が話し合われる。
 連邦議会も24日の合同委員会で、期限切れとなる大量の検査キットの事などでパズエロ保健相から説明を聞く方針を決めた。