新型コロナウイルスのパンデミックによる影響からの回復を目指す工業界で原材料不足が深刻化しており、自動車業界は今週にでも操業停止が起こり得ると8日付現地紙が報じた。
全国自動車工業会(Anfavea)のルイス・カルロス・モラエス会長によると、鋼板、ゴム、タイヤ、プラスチック製品などの原材料不足が深刻で、今日明日にも操業停止する事態が起こり得るという。
同氏は11月にも同様の問題に言及し、ロジスティック面などで原材料を供給する企業への支援を強化している事や、原材料の購入努力を続けているが、資材不足や為替が原因で原材料価格が上昇している事などを明らかにしていた。
自動車業界は、パンデミックによって国外からの資材供給に支障が出始めた事と、外出自粛で実店舗の営業が難しくなる事などを理由に、早期に一斉休暇などを採用してパンデミックによる影響回避に努めてきた。
外出自粛期間中は、実店舗での営業が困難な中でオンライン販売などを継続。生産数や販売数は大きく落ち込んだが、感染を怖れて公共交通機関の利用を避けたい人が増えた事などもあり、生産活動再開後は販売台数も生産台数も増えていた。
販売や生産が順調である事は、乗用車、バス、トラックをあわせた11月の生産台数が23万8200台に達し、13カ月間で最多を記録した事や、販売店や工場にある在庫は2004年4月以来の低水準の16日分である事でも明らかだ。
だが、英国などでの新型コロナの感染再拡大で国外からの資材確保が困難になった事もあり、生産上昇に原材料の供給が追い付かない状況が深刻化。「12月中、それも今週中に操業を停止せざるを得ない状態になる」との見解表明となった。
産業開発研究院(Iedi)のエコノミストのラファエル・カグニン氏は、新型コロナのパンデミックが先行き不透明感を増し、生産活動での混乱を招いた事や、在庫が極度に減り、資金運用が困難になっている事を認めている。また、政府が採用した緊急支援策の不備などで、在庫不足や生産活動減速は全部門で起こりうるという。
1~11月の自動車の生産台数は180万台で昨年同期を35%下回っており、操業停止が同業界の回復に水を差しかねない事は心配の種だが、原材料不足は全ての業界の懸念材料でもある。
11月にはワイナリーのAuroraが瓶不足に陥り、ジュース製造を2日間停止。デリバリーを始めた食堂やファストショップなどが、数日で納品されていたこん包材を30日前に注文しなくてはならなくなったという例もある。
ジェツリオ・ヴァルガス財団が11月27日に発表した10月の工業界信頼感指数は2010年10月の113・6ポイント以来の好結果となる113・1ポイントで、2月を上回ったが、この調査でも、今後3カ月間の生産と雇用に関する指数は、高レベルながらやや低下していた。