ラヴァ・ジャット作戦判事として名をあげて一時は国民的英雄となり、ボルソナロ政権で法相まで務めたセルジオ・モロ氏。弁護士になってからは、逮捕歴もあるイスラエルの富豪の擁護をはじめ、かつて自分が裁いたオデブレヒト社の弁護もする事務所に所属を決めたことで、大きな波紋を投げかけている。8日付現地紙が報じている。
モロ氏がイスラエルの鉱山事業の大物、ベニー・スタインメッツ氏の弁護士をしていると報じられたのは11月21日付のサイト「ジ・インターセプト」においてだった。
鉱山企業BSGRの社主であるスタインメッツ氏はイスラエルを代表する富豪で、鉱山業界においては世界有数の大物だが、鉱山開発権の争いにまつわる不正でもかねてから名前が知られている。
米国のFBIに目をつけられたのはギニアのシマンドウ鉱山の発掘権での不正疑惑で、2016年12月には米国、イスラエル、スイス、ギニアによる合同捜査の末、資金洗浄と詐欺、贈賄の容疑で逮捕もされた。これに加え、脱税、環境法違反、人権問題に関しても捜査を受けており、現在も、米国、スイス、シエラ・レオネの当局から捜査対象になっている。
モロ氏は今回、スタインメッツ氏の担当弁護士を75万レアルの契約金で請け負ったとされている。同氏はブラジルの鉄鉱大手ヴァーレ社がスタインメッツ氏を訴えていた裁判に関して、スタインメッツ氏に有利な意見書を提出していたことがわかっている。
これは、2010年にヴァーレがBSGRと企業共同体を組んでシマンドウ鉱山の開発を行うことになり、BSGRからコンソーシアムの利権の51%を購入したところ、その翌年、ギニアの大統領に就任したばかりだったアルファ・コンデ氏がBSGRの不正を問題視し、開発契約を反故にされた件で、BSGRを訴えていたものだ。
11月29日には、モロ氏が米国の法律事務所「アルヴァレス&マーサル」の理事に就任したことも発表され、物議を醸した。それは、同事務所が、ラヴァ・ジャット作戦で最も不正を働いた企業とされ、モロ氏自身も多くの関係者を裁いてきたオデブレヒトやOASを長年の顧客としているためだ。