保健省が10日、異なる型の遺伝子を持つ新型コロナウイルスに感染した国内初の再感染患者確認を発表した。感染者や死者増加は続いており、リオ州やサンパウロ州などでも病床ひっ迫が深刻化。感染拡大抑制が急務となっていると10日付現地サイトなどが報じた。
再感染が確認されたのは、リオ・グランデ・ド・ノルテ州州都ナタル市在住でパライバ州で働く37歳の女医だ。彼女は6月に新型コロナに感染後、回復したが、最初の感染確認から116日後の10月に再び感染が確認された。保健省は9日にオズワルド・クルス財団(Fiocruz)からの報告を受け、「異なる遺伝子配列のウイルスによる再感染が確認された」と発表した。
州単位では再感染の報告が出ていたが、保健省が認めたのは初めてだ。
ブラジルでの現状は第2波到来と言え、9日現在のメディア集計によると、連邦直轄区と21州は死者増加傾向にある。同日の死者はメディア集計で848人(保健省は836人)で、11月12日の926人に次ぐ、大きな数だ。保健省集計の新規死者数は8日が842人だから、2日連続の800人超えだ。
9日現在の死者数は累計17万8995人(メディア集計では17万9032人)となった。同日の感染者数は5万3453人増の累計672万8452人で、こちらも前日の5万1088人に次ぐ5万人超の増加となった。5万人超えは9月4日以降途絶えていたが、11月28日以降、既に5回目だ。
欧州では外出規制強化が続き、米国では新たな死者が1日3千人を超える事態になっているが、医療現場の逼迫ぶりはブラジルも同様だ。
リオ州では、10日現在の病床待ちの人が集中治療室200人、一般病室200人となった。Fiocruzは同日、同州ではパンデミックの期間中、5千人が入院さえ出来ずに死亡したとの調査結果を発表した。サンパウロ市でも、サンタカーザ病院でコロナ患者用の集中治療室が満杯となり、エミリオ・リバス病院の占有率も90%に達した。
南東部は感染者や死者の増加が顕著で、10日の患者数はサンパウロ州9784人、ミナス州4080人など、計1万7195人増加。死者も計451人増えた。南部でも感染者が1万5558人、死者が192人増えた。
感染者や死者が増加傾向にある中、経済界では非常事態宣言の延長や緊急支援金の支給延長が必要との見方が広がっており、予防接種前倒しなどの感染抑制策採用への圧力も増している。リオ州議会は9日、非常事態の1年間延長を承認。ゴイアニア市議会も10日に180日間延長を認めた。
経済省経済政策班は9日、平均家庭所得をパンデミック前の水準に戻すには社会隔離を29%厳格にする必要ありとの見解を表明。だが、死者が800人を超える中、ボルソナロ大統領は10日朝、「パンデミックは終息間近」と発言し、認識の違いを再度露呈した。