オズワルド・クルス財団(Fiocruz)が10日、11月以降の新型コロナの感染者や死者の増加は内陸部でも起きており、全国的に医療体制が逼迫している事や、年末年始が近づいている事で増加傾向が増幅される可能性を指摘する報告書を発表した。
内陸部は都市周辺部よりも医療体制が不足しがちで、新型コロナの感染者用の病棟や病室を準備するのが困難だ。そのため、感染者数はさほどでなくても医療崩壊が起こりうる。都市周辺部では、人が多くて密が起こりやすいため、感染者が増え過ぎて病床不足や医療崩壊が起こり得る。
年末年始は人が集まる機会が多いため、社会的な距離の確保を忘れて密を生み、感染を拡大させる可能性がある。年末年始はそれでなくとも、人の移動に伴う交通事故などの増加が医療体制を圧迫するので、その上に新型コロナの患者が増えれば、事態がさらに複雑になる。
多くの自治体が臨時病院を解体した後の現在はなおさらだ。人の移動が多ければ感染経路の特定が難しくなるし、大勢で会食などを行えば、マスク着用やアルコールジェルを使った衛生管理が難しくなる。
パンデミックの初期は都市やその周辺部に患者が集中し、その後に内陸部の患者が増え始めた。だが、現在は都市部か内陸部かの区別はなく、全国で感染者や死者が出ており、都市部の病院も内陸部からの患者に対応しきれなくなり始めた。
同財団によると、ブラジル国内の全5570市中、メトロポリタン地域といわれる都市やその周辺の市は177のみだ。
177市には人口の33%が集中しているが、5月末までの統計では新型コロナによる死者の67%が177市に集中していた。だが、10月末は177市での死者が33%に減り、人口比と一致。都市部か内陸かの区別はなくなっている。
Fiocruzでは、医療体制の充実度を知るために、集中治療室の外で死亡した患者の割合を集計。集中治療室不足の影響は、アクセスが困難で移動距離も長い内陸部の方が出やすいという。
風邪のような症状を伴う感染症警戒のための情報システムによると、南部以外の地域では、集中治療室の外で死亡した患者の割合は内陸部や小さな市の方が大きい。
集中治療室の外で亡くなる患者の割合は内陸部で36%、都市周辺部では31%だった。死亡した場所が不明も内陸部9%、都市周辺部で13%おり、数字がさらに膨らむ可能性がある。
集中治療室の外で亡くなった人の割合が高かった州は、内陸部の場合がアマパー82%、ロライマ73%、アマゾナス66%、パラー59%、セルジッペ58%、トカンチンス50%、アクレ46%、セアラー45%だった。
都市周辺部の場合は、ロライマ63%、セルジッペ53%、アマゾナス47%、リオ・グランデ・ド・ノルテ42%、ミナス・ジェライス38%、サンパウロ36%、連邦直轄区35%、セアラー38%となっている。(10日付アジェンシア・ブラジルより)