《ブラジル》人間開発指数で189カ国中84位に=若干改善もランキングは低下=法定アマゾンへの警告も
国連開発計画(UNDP)人間開発報告書室の発表によると、19年のブラジルの人間開発指数(HDI)は0・765で前年の0・762より改善したが、他国の改善度が高く、ランキングは189カ国中79位から84位に低下したと15日付現地サイトが報じた。
HDIは保健、教育、所得の3側面からある国の平均達成度を測る指標だ。一つの国を評価するには、経済成長と共に、人間および人間の自由の拡大を基準とすべきという考えを反映している。
HDIは0から1で表され、数字が大きいほど人間開発度が高い。19年のトップは0・954のノルウェーで、最下位は0・377のナイジェリアだった。
保健の開発度を測る指標は平均寿命で、経済の指標は国民1人あたりの国内総生産(GDP)だ。教育の開発度は、25歳以上の成人の平均就学年数と就学前の子供達が就学すべき年数予測の二つが評価対象となる。
19年のブラジルの平均寿命は75・9年で、18年より0・2年延びた。1990年の平均寿命は66・3年だった。国民1人あたりの所得は1万4263ドルで18年より0・5%増えたが、依然として2010年の1万4409ドルには戻れずにいる。就学予測年数は15・4年で、2016年からずっと同じだ。平均就学年数は7・8年から8年になり、若干の改善が見られた。
南米でのHDIトップはチリの0・851。以下、アルゼンチン0・845、ウルグアイ0・817、ペルー0・777、コロンビア0・767と続く。ブラジルのHDIは南米で6位だ。それでも、HDI0・7~0・799の国は開発度が高い国に数えられる。
HDIには格差を考慮した不平等調整済み人間開発指数(IHDI)もある。ブラジルのIHDIは0・570で、HDIより25・5%も低い。HDIとIHDIの差(格差の大きさ)はラ米諸国の中でも最大で、世界ランキングは104位に落ちる。ブラジルで格差が最も大きいのは所得で、同項目のポイントを41%引き下げる。
性差を考慮した場合のランキングは95位だ。この場合の指数は、妊婦の死亡率や若年妊娠、議会における女性の比率などが考慮される。
19年の報告書では、地球への影響を考慮したプラネタリー圧力調整済み人間開発指数(PHDI)も創設された。国民1人あたりの温室効果ガス排出量(二酸化炭素に換算)と天然資源消費量(マテリアルフットプリント)を加味すると、ブラジルの評価は0・710に落ちる。
PHDI算出には森林伐採や森林火災、土地の用途変更などが加味される。UNDPは、法定アマゾンの森林伐採やパンタナルの火災などに言及し、アマゾンがサバンナに変わる可能性を指摘。
他方、先住民居住区では生物の多様性が保持されているとも述べている。なお、先進国のPHDIはブラジル以上に落ちるため、ブラジルのランキングは74位に上がる。