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『平成学院・天野重知』新校舎が完成=総額750万レアル投資=乳幼児教育の新入生募集

平成学院のロゴと『ESCOLA HEISEI SHIGUENORI AMANO』の看板

 サンパウロ市に『平成学院・天野重知』新校舎が完成した。総建設費750万レアル超。天野重知(しげのり=故人)は同校を経営する天野鉄人(てつひと)理事長の父。北富士演習場の入会(いりあい)権をめぐる「忍草(おぼくさ)の闘い」を、むしろ旗を掲げて指揮した闘将だ。名だたる社会学者を味方につけ左翼右翼、体制派反体制派から畏れられ注目された。同学院は、天野理事長の父の高い志を受け継ぎ、日本伝統の古典文化を取り入れた独自の教育を目指す。新年から乳幼児教育の新入生を募集する。

〝泳ぐ宝石〟錦鯉飼育=「日本古典文化」を採用

 平成学院は「平成学院サンタナ校」35年、「平成学院ジュンジアイ校」8年、「平成そろばんアカデミー」は40年の歴史を誇る。
 このほど完成したのはサンタナ校乳幼児部で、天野鉄人理事長が敷地購入などを含めて750万レアル以上を投じて完成させた。
 校舎正面壁に『ESCOLA HEISEI SHIGUENORI AMANO』と書かれた看板が高々と掲げられた。経営を担当するのは天野鉄人理事長。教育を担当するのは浜崎クラウジアみゆき院長と娘の浜崎みわ教頭だ。
 このほど完成した乳幼児部校舎は敷地面積900平米、建築面積300平米、4階建て延べ面積は1200平米。将来は天野理事長が再投資して小中学校から高等学校まで建設する。
 校舎外見の特徴は階段横に「滑り台」があることと、日本庭園を造って縦10メートル、横2メートルの池に「錦鯉」が泳ぐこと。日本間から〝泳ぐ宝石〟を観賞することができる。幼児が日本文化に浸りながら自然に日本語を学んでいくことが出来る仕組みだ。
 教育陣は担任が7人、副担任が2人、専門教師が8人、事務などの職員が9人、計26人を充てる。専門教師は日本語、そろばん(2人)、体育、音楽、ダンス、柔道、英語をそれぞれ教える。

平成学院の歴史

左から浜崎みわ教頭、浜崎みゆき院長、経営者の天野鉄人理事長、浜崎マルセリーノさん

 1982年ごろ、浜崎みゆき院長が15歳の時、そろばんの教師を始めた。
 1986年ごろ、院長が19歳の時、日本に2年間留学し、そろばんの資格を取り、日本舞踊を習い花柳流の名取となった。その間、女子短大に聴講生として通い、教育関係の授業を受け日本語の勉強をした。お茶、花、太鼓、三味線も習った。
 帰伯して日本人会の会館で日本語教室を開き、幼稚園をスタートした。
 1989年(平成元年)、院長が21歳の時、PUC教育学部を卒業した。
 1995年から1997年まで、栃木県小山市にあるせいほう幼稚園で研修。子供(女子)2人を連れて日本で教育した。親として、教育のプロとして日本の幼児教育の現状を見ることができた。すべてそろばんの教師を通じて紹介してもらった。
 この間、依頼されてデカセギ子弟にポルトガル語を教えた。この体験は現在、日本から進出してきた企業の駐在員子女にそろばん、ポルトガル語を教えるのに役に立っている。また、外国で子女を教育する親の気持ち、子供の心理を理解するのに参考になっている。

錦鯉を観賞できる畳の敷かれた日本間

錦鯉が泳ぐ日本庭園の池

平成学院の教育理念

 浜崎院長は「私の夢は、カルチャー・センターを造ることでした」と前置きして、その理想教育理念を次のように披露した。
    ☆
 日本の文化を大事にして、日本の伝統的な古典文化を伝えるなかで日本語教育が自然に身についていく形が理想。人間の心身両面の教育は、どの学校にでもできることではない。
 現在の母親は、自分の子供を教育していくことに自信を持っていない。だから、親から変えていかなければならない。矛盾するけれども、子供が変われば、親も変わる。
 コロナ禍の中、新しい教育方法を考え出していかなければならない。学校に通えない子供のためには、塾で補強してあげたい。
 日本語だけを教えるのではなく、日本の伝統的な古典文化を伝える中で日本語がついてくるモダンな教育を実現させたい。
 日系人子女の人格形成は、「日本人の真面目な堅い性格」と「何とかなるというブラジル人の楽天的な軽い性格」をバランスを取って形成していくのが理想。だから、日系人の子女には日本文化を、駐在員の子女にはブラジル文化を伝えたい。

連絡先
E-mail: otoiawase@escolaheisei.com.br