【既報関連】国家衛生監督庁(Anvisa)が緊急使用を認めた新型コロナワクチンの内、コロナバック600万回分は国内配布済みだが、インド製のオックスフォード・ワクチン200万回分が未着の上、予防接種ワクチンの国内生産に必要な原材料(有効成分)輸入のめどが立たず、予防接種キャンペーン継続に暗雲が漂っていると20、21日付現地紙、サイトが報じている。
Anvisaの緊急使用許可は対象限定だ。コロナバックの国内生産を担当するサンパウロ市ブタンタン研究所は18日に、中国から輸入した有効成分を使って生産した480万回分の緊急使用許可を申請。次の有効成分輸入のための手続き加速も図っている。
ブタンタン研究所が発注した有効成分は、中国国内の手続き4段階中3段階で許可を得ている。だが中国外務省の許可が出ず、同国内に留まっている。中国では新型コロナの感染再燃が起きており、各種手続きのための審査期間が15日から30日に延びたが、これは輸出が遅れている原因のほんの一端だ。
サンパウロ州政府は上海に事務所を構えて担当者を置いて、中国との連絡を密にしている。だが、ブタンタン研究所で輸入・生産したワクチン買い上げを決めた保健省や連邦政府からは、先週まで承認迅速化の努力は何も行われていなかった。
サンパウロ州のドリア知事やブタンタン研究所のジマス・コーヴァス所長は、ボルソナロ大統領や息子達、アラウージョ外相らがここ数カ月にわたって行ったコロナバックの有効性を疑う発言や中国への批判も障壁になっていると苦言も呈していた。
外交上の問題に関しては、ブラジル駐在中国大使と会談を行ったロドリゴ・マイア下院議長が20日、有効成分の輸出の遅れは外交上の問題ではなく、技術上の問題との回答を得たと発言した。同議長によると、同時点では誰も大使との交渉を試みていなかったという。
サンパウロ州政府は同日、中国の事務所を通して働きかけを強化すると発表。他方、連邦政府はパズエロ保健相や中国との関係が良好なテレザ・クリスチナ農相を含む複数の閣僚と会合を開き、アラウージョ外相を中国との交渉役から外した後、保健相と農相、ファビオ・ファリア通信相を介して中国大使との会談を行い、ワクチンや原材料の輸入に関する交渉を行った。
中国からはオズワルド・クルス財団(Fiocruz)が国内生産を担当するオックスフォード・ワクチンの有効成分も輸入するため、中国との関係改善はキャンペーンの行方を左右する。大統領は21日、中国とインド、ロシアに予防接種ワクチン関連で協力を仰ぐ文書も送った。
努力の甲斐があり、ブタンタン研究所への有効成分は2月初旬到着の見込みが出始めた。インド政府も21日、オックスフォード・ワクチン200万回分を22日に発送する事を認めた。
18日に配布された予防接種ワクチンは保健省が予定していた予防接種キャンペーン第1段階の必要数には到底及ばず、全国の知事は2回目の接種用ワクチン確保を求める一方、第1段階の不足分の追送を促している。