サンパウロ日本移民史料館運営委員長、サンパウロ人文科学研究所の理事及び日本支部長を務めた栗原猛さん(東京都出身)が、昨年12月24日午後7時40分に熊本県で敗血症のため亡くなっていた。行年78歳。
栗原さんは一時帰国中の2016年、熊本県震災被災者へ支援物資を届けるため訪れた熊本県で、エスカレーターから転落して同県病院へ入院。事故の影響で運動麻痺等が残り、コロナ禍前までリハビリを続けていた。
ブラジル日本文化福祉協会(文協)は1月13日に開催された理事会で追悼の時間が設け、故人の遺徳を偲んだ。日本ではコロナ禍終息を待って法要を開催予定だという。
栗原さんは1965年にIHI(石川島播磨重工業)に就職。85年に石川島ブラジル造船所(ISHIBRAS)に赴任。九州支社や四国支社長をへてサンパウロ営業所長も歴任した。
04年に文協の活動に参加。日本語文書の作成や日本機関との窓口、要人受け入れ体制を支え、会長顧問にも任命された。
07年から11年にかけて日本移民史料館の運営委員長を務めた。中でも日本移民百周年の08年の折りには、記念式典ご出席のために来伯された徳仁皇太子殿下(当時)が史料館に足を運ばれた際、案内する大役もこなした。
一方、人文研では2010年からサンパウロ本部で第二財務理事、12年から理事を歴任。同年に発足した日本支部では14年から日本支部理事長を務め、日本からの研究員派遣や日本での講演会に尽力した。
日本移民百周年記念事業では日本語版「ブラジル日本移民百年史」の「産業編」コーディネーターや、『足跡プロジェクト(http://www.museubunkyo.org.br/ashiato/imigrantes/)』で日本移民データのデジタル化を進めた。