中国との関係を悪化させてきたことで渦中の人になっているエルネスト・アラウージョ外相が昨年7月、中国が南米の代表者と行ったコロナワクチンに関しての会議への参加を拒否していたことが分かって更に問題視されている。22日付現地サイトが報じている。
中国との間で問題となっているのは、連邦政府が勧めるコロナワクチン「オックスフォード・ワクチン」や、サンパウロ市ブタンタン研究所が扱っているワクチンの「コロナバック」を国内生産するために不可欠の中国産の原材料(有効成分)のブラジルへの輸出が滞っていること、その原因がアラウージョ外相らの態度にあることが、サンパウロ州高官などの発言で表面化していることだ。
アラウージョ外相の中国に対する対応は、昨年来、様々なところで取り沙汰されてきた。昨年3月には、大統領三男のエドゥアルド下議がSNS上で「1986年にソ連がチェルノブイリ原子力発電所の爆発に関しての真相を隠したように、中国はコロナウイルスに関して嘘を言っている」と発言し、ブラジル駐在の同国大使が激怒。それが中国側にも届き、外交問題となったが、アラウージョ外相はそれを仲裁するどころか、自身もコロナウイルスを「コミュニストのウイルス」などと呼び続け、この時以来、中国と対話を持たなくなっていた。
その結果、昨年7月に中国で行われた、中南米の国々を対象としたコロナウイルスのワクチンに関する会議にアラウージョ氏、さらにブラジルが欠席していたことが明らかとなった。この会議にはアルゼンチン、コロンビア、ペルー、チリ、ウルグアイ、バルバドス、コスタリカ、キューバ、ドミニカ、エクアドル、パナマ、トリニダード・ドバコの外相をはじめとした代表団が参加していたが、ブラジルはこれに明確な理由も説明せずに欠席したという。この会議の席で中国政府は、中南米に対し10億ドルにも及ぶ資金提供を申し出ていたという。
中国との問題がコロナワクチンに及んでいることから、ボルソナロ大統領はアラウージョ氏に対し、中国への態度を改めるよう説得し始め、最悪の場合、辞任することも勧めているという。アラウージョ氏が熱心な右翼思想な持ち主であることから、外務省内の序列を無視して、大統領が強引に指名した人事だった。