新型コロナの感染再燃で、回復し始めていた経済活動が再び縮小に向かう中、企業家や各種産業団体が連邦政府の対応の遅さや見通しのなさを批判。政府や議会がより明確な対策を採るよう要請していると22日付現地紙が報じた。
企業家や産業団体は先週、ブラガ・ネット官房長官、ファビオ・ファリア通信相、エルシオ・フランコ保健省副大臣と会合を持ち、新型コロナの感染再燃問題や迅速な予防接種実施の必要について話し合った。会合に出席した企業家らは、連邦政府が状況をコントロールする事を約束し、5億回分のワクチン確保の可能性を提示、その配布も保証した事に安堵してその場を後にした。
だがその翌日、インドからのオックスフォード・ワクチン200万回分の輸入計画がとん挫した上、中国からの有効成分輸入も遅滞するという事態が判明。ワクチン配布でも混乱が生じるなどで、企業家達の見方は一転。それまで以上に政界批判が高まった。
不満表明の一つは「産業提携運動」の参加14団体が署名した文書で、迅速な改革を求めると共に、感染拡大第2波は予想以上の勢いで、社会、財政、保健の全分野が深刻な状況に直面していると訴えた。「ブラジル国民にとって優先されるべきもの」と題した文書では、政府や議会は政府が望む政治ではなく、国が必要とする政治を行うべきと説いている。
全国財・サービス・観光商業連合(CNC)のジョゼ・テドロス会長は、政府や国民は事態の深刻さを認識せず、マスクも着けずに出歩き、随所で3密を作り出しているとし、「迅速に予防接種を行わない限り、(経済活動の本格的再開などは)何も起きない」と発言。緊急支援金の90日間延期も求めた。
全国サービス連合(CNS)のルイジ・ネッセ会長は、保健省主導でオリエンテーションを行う事を要請。産業提携運動参加者のジョゼ・リカルド・コエーリョ・ブラジル・プラスチック生産者協会副会長は、コロナ対策は先行き不透明で、統一性がないと批判。「保健衛生部門は安定感や信頼性に欠けており、経済は先に進まない」と表現した。
産業界では21日も、大手企業15社がオズワルド・クルス財団(Fiocruz)の「コロナ感染症への団結プロジェクト」に160万レアルを寄付するなど、コロナ対策を支援する姿勢を見せている。と同時に、資金が有効活用されない事への不安も表明。政府が明確な方針を打ち出す事を希望している。
ナトゥーラ社共同創始者のペドロ・パッソス氏も、企業側の支援の有効利用には政府のリーダーシップが不可欠とし、ワクチン輸送用の車両調達や人員訓練、コンサルタント契約、輸送計画作成などの指示を出すよう要望。「2億人に予防接種を行うという壮大な挑戦を前に、行き当たりばったりの対応が多過ぎる」と嘆いた。
インドからのオックスフォード・ワクチン200万回分は22日午後、ブラジルに到着。国家衛生監督庁(Anvisa)も同日午後、ブタンタン研究所生産分のコロナバック480万回分の緊急使用について協議する。同庁はロシア製ワクチンに関する話も進めている。