サンパウロ市のジャパン・ハウス(JH、エリック・アレシャンドレ・クルッグ館長)は2日から28日(日)にかけて『DŌ(道)‐金澤翔子の道』展を1階(GF)で開催する。入場料は無料。日本を知る上で重要な「道」の哲学を、華道や柔道といった様々な分野から紹介してきた今シリーズ。第三回目となる今回は「書道」に焦点があてられる。ナターシャ・バルザーギ・ジーネン企画担当局長は「コロナ禍の暗い気持ちを一掃してくれるようなポジティブな言葉とパワーをもった作品を選定しました」と説明する。
金澤氏は「ダウン症の書家」として知られ、東京オリンピックの公式アートポスター制作アーティストにも選ばれている現代日本を代表する書家。繊細な筆運びと文字の配分や書体に独自性が際立つ。
クルッグ館長は「展覧会を通して女性や、障害を持つ人の活躍としても紹介する事につながり大変意義があります」と頷く。
ブラジルで初となる金澤氏の展覧会には掛軸10点、屏風1点と選りすぐりの作品を展示。金澤氏が大筆を用いて身体全体で書くパフォーマンスから生み出され、多くは約2メートルを超えている。
同展の展示作品には「その時の心情」や「間」など、同氏の母で同じく書家の泰子さんによる解説がつく。全ての作品に同氏の前向きなメッセージと、詩的に表現された主観の中に日本文化の心髄が感じられるものとなっている。
JHは昨年12月にも身体障害者に向けたオンラインイベント「Sem barreiras‐身体障害者アーティストのアクセシビリティフェスティバル」同氏について動画などで紹介しており、同館ユーチューブ上でも視聴が可能だ。(https://www.youtube.com/watch?v=m3Aw3C3eL-o&list=PL711pU9JfCiKJqttTAkw0KNwkGe8rWasD)
開催前日の1日に視察に訪れた桑名良輔在サンパウロ日本国総領事は、「金澤さんの持つエネルギーを感じられました」とし、屏風に書かれた〝言霊〟の習字を差し、「言葉の魂が全面に現れているよう」と称えた。「作品を通してブラジルの人に書道や、日本独特の精神を是非知っていただきたい」と笑みを浮かべた。
同展詳細についてはJHサイト上の専用ページ(https://www.japanhousesp.com.br/ja/exposicao/do-o-caminho-de-shoko-kanazawa/)で確認できる。
開館日時は火曜日から金曜日の11時から17時まで。オンライン予約サイト(https://agendamento.japanhousesp.com.br/)で事前予約も可能。
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JHでは視覚障がい者でも楽しめるよう、音声ガイダンスや触れる事のできる展示も用意されている。同展では〝光〟の筆跡を浮き彫りで模型を作り、触れてその文字や筆跡を感じる事が出来る。同時開催中の「日本のパッケージ展」でも係員を呼べば一部作品に触れる事が可能だという。