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《ブラジル》大統領 上下両院議長選を制する勢い=批判していた「古い政治手法」復活で=バラマキで続々と寝返る議員たち=虚報CPI委員長にも4千万レ

1月28日のボルソナロ大統領(Alan Santos)

 【既報関連】1日夜、連邦議会で上下院の議長選が行われた。今回の議長選では、ボルソナロ大統領が推す議員への票を得るため、連邦政府が巨額の議員手当を送るなどの問題が浮き彫りとなっている。1日付現地紙が報じている。
 今回の議長選は、1月31日現在の調査で、下院がアルトゥール・リラ下議(進歩党・PP)、上院がロドリゴ・パシェコ上議(民主党・DEM)と、どちらも、ボルソナロ大統領が支持する候補が有利となっている。
 当初、下院の方はロドリゴ・マイア議長(DEM)の推すバレイア・ロッシ下議(民主運動・MDB)が有利とされていた。だが、社会自由党(PSD)をはじめ、マイア氏自身が所属するDEM、民主社会党(PSDB)、連帯(SD)と、当初はバレイア氏を支持していた政党が次々と支持を取り下げた。これらの党には元からリラ氏を推す声が少なくなく、政党が全体一致での投票を強制できなくなった。
 ところが、今回の議長選では、連邦政府による事前の議員交渉が問題視されている。
 エスタード紙は1月28日(紙面では1月29日付)から連日で、連邦政府による連邦議員への巨額の手当について報じている。これは同紙が入手した、連邦政府内で出回っていた手当の配分表で明らかになったものだ。これを指揮していたのはルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府秘書室長官だという。マイア議長(当時)は26日に、同長官に対する抗議を行っている。
 1月28日に報じられた第1弾では、285人の連邦議員に合計で30億レアルが「事業費」と題して開放されたことが判明した。内訳は250人が下議、35人が上議だ。それらの下議の内、221人がリラ氏に投票予定であり、131人が配分リストに名前が載っている。また、41人は昨年12月以来、連邦議会から直接交渉を受けている。上院では33人がパシェコ氏に投票。22人が配分表に名を連ねている。

 1月30日に報じられた第2弾では、上院のフェイクニュースの議会調査委員会(CPI)のアンジェロ・コロネル委員長(社会民主党・PSD)が個人で4千万レアルの特別手当を受けていたことも明らかにされた。同CPIは大統領三男のエドゥアルド下議をはじめとするPSLのボルソナロ派の下議や、大統領をネット上で支援するジャーナリストや企業家が調査対象となっており、大統領の目の上のこぶとなっていた。
 1月31日に報じられた第3弾では、バレイア氏からリラ氏に票を乗り換えた下議にも特別議員手当が支払われたことが報じられている。
 連邦政府が連邦議員に手当を支払うことで協力を求める姿勢は、違法ではないが、ボルソナロ大統領が大統領選の際に「古い政治」として批判してきたやり方だ。大統領は1月29日にも、議会が望むなら、省庁復活もあり得ると発言し、役職提供による協力要請の道具とする可能性をにおわせた。だが、選挙公約に反するといった批判の声が出たこともあり、こちらはその後、否定した。
 これらの言動は、汚職で悪名高い中道勢力セントロンへの接近に続き、大統領の路線変更をうかがわせる結果となっている。また、コロナウイルスのパンデミックや医療崩壊で医療機関や国民への支援が必要とされるときに、議長選に向けた調整用に数10億レアル単位の金が支払われることにも疑念の声が高まっている。
 マイア議長はボルソナロ大統領の罷免請求を受け付けることを示唆して、DEMの議員らの造反を食い止めようとしていたが、1日には罷免への動きを否定する発言を行った。同議長は2019年と20年の2年間、ボルソナロ氏の罷免請求を60通以上受け取っていたが、罷免には動いていなかった。
 1日午後5時半の時点では選挙結果は出ていないが、大統領が推す候補が上下両院の議長となる可能性が強まる中、ボルソナロ大統領は議長選に勝てるかもしれないが、セントロンへの依存度がより大きくなり、場合によっては人質的な立場になる可能性さえあるとの見方が政府関係者の間にも広がっているようだ。

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