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『のうそん』誌が昨年終刊=コロニアの声綴って半世紀=日伯連帯研究所が寄贈呼びかけ

編集部にある「のうそん」の冊子

編集部にある「のうそん」の冊子

 「一世がいる間に、日本移民が遺した貴重な文化遺産を出来るだけ日本でも保存する必要性を感じています」――日伯連帯研究所ONG Trabras、東京都所在)の加藤仁紀代表は、そうメールで胸中を綴ってきた。世代を重ねるごとに日本語を読める人がいなくなり、伯国内に点在する日本人移民が出版した書籍の多くが廃棄されることを危惧している。そこで第289号をもって昨年終刊した『のうそん』誌(発行=日伯農村文化振興会 、永田久主宰)を国立国会図書館に全巻納本すべく、未納本分の収集を呼びかけている。

 『のうそん』は永田氏が1969年の6月にアリアンサ移住地からグアルーリョス市に引っ越したのを機に創刊、永田氏が91歳を超えて継続が難しくなったため、第289号をもって昨年終刊となっていた。そのうち、第281、284、288号の提供協力を仰いでいる。
 同団体は日本で在日ブラジル人の労働支援や日伯間交流活動のほか、ブラジル日本移民が出版した本を保存するために国立国会図書館への納本活動も行っている。現在、国会図書館には第1号から280号が納本されており、そのうち33冊は同団体が納本した。
 280号以降の未納本分は伯国内の協力者である富田博義さんが、主筆の永田久氏の妻美知子さんと連絡をとり第282、283、285、286、287、289号の入手が出来ている。
 寄贈を募る3冊は永田氏の手もとにも無く、入手困難のために広く協力を仰ぐ事となった。
 早稲田大学OBでもある同氏によると、同大学も近年中南米の日本移民が遺した書籍の収集と保存に関心を持っているという。
 「日本で国会図書館や大学図書館に保存されていれば、いずれ研究の役に立つ」と協力を訴える。「永田氏のこれまでのご努力とご功績を後世に遺す価値がある」と断言する。
 第281、284、288号を所有する人で、寄贈したいという方はニッケイ新聞編集部(担当=天野)まで郵送を。富田さんが日本の同団体にまとめて送る予定だ。
 日伯連帯研究所「ONG Trabras」サイトは(https://www.ongtrabras.org/)問合わせは同所(メール= info@ongtrabras.org)