国民の命を守りつつ経済回復を早めるには新型コロナのワクチン接種加速化が必要と考える企業家達が、9月までの接種完了を目指して動き出したと9、10日付現地紙、サイトが報じた。
「接種に向けた統一(UPV、Unidos pela Vacina)」と称するグループのリーダーでマガジネ・ルイザ経営審議会議長のルイザ・エレナ・トラジャノ氏は、「23万人の命を失う事態を招いた責任者を探したり、政治的な議論をしたりする気はないし、ワクチンを買うために走り回るつもりもない」と明言し、物流やマーケティングなどの組織や力を結集し、一刻も早くワクチンを行き渡らせるために努めるとの意向を表明した。
EBカピタルの最高経営責任者(CEO)、エドゥアルド・メルゼル氏は、「我々の最大の資産は財政能力ではなく、動員・稼働力」と発言。各レベルの行政機関との対話や、ワクチン製造用の原材料、接種用の注射器や針などの調達、物流・保管といった問題解決や接種迅速化には、GolやSuzanoといった企業や小売開発研究所、ブラジル銀行連盟(Febraban)などの団体、諸方面の専門家も協力する。
9日時点の参加者は企業家中心に400人。
現在は、機動性研究所を通じて、全国の保健機関の所在地と問題を明確にする作業を行う一方で、ワクチン接種に反対する人がどの位いるかを調査中だ。現時点での反対者は15%程度だという。
UPVの活動は約1カ月前に始まり、今週はロシア製ワクチン、スプートニクVの製造者との会合も行った。トラジャノ氏は、「政府が必要なのはワクチン購入用資金ではなく、ワクチン入手の手立てだ。我々は中国やインド、米国にも会社を持っており、皆がコロナ禍の解決に協力したいと思っている」と語った。
予防接種の統括責任者は保健省だが、予防接種計画は不明瞭だ。
しかも1月18日に最初のワクチン配布が始まって以来、「優先グループ外の人達が最初に接種を受け、接種を拒否した人の分を対象外の人に流用して、拒否した人が接種を受けたと記録した」とか、「順番が来たからと保健所に出向いた高齢者がワクチンがなくなったと言われて泣き帰った」「針を刺したが、ワクチンを接種せず注射器を抜いた看護師がいるから、接種時は目の前で注射器にワクチンを入れさせ、ビデオ撮影を頼め」などという話が絶えない。
レヴァンドウフスキー最高裁判事は8日、パズエロ保健相に5日以内に接種計画をより明確にするよう指示。パラナ州クリチバ市では対象外なのに割り込んで接種を受けた人に罰金を科す事を決めたし、割り込み接種者に2度目の接種を禁じた自治体もある。
ワクチン接種には安全性確保の問題もあり、国際的な監督機関が緊急使用を認めたワクチンはブラジルでも5日以内に購入可能とするという暫定令には、国家衛生監督庁(Anvisa)が大統領拒否権の行使を求めた。
だが、WHO(世界保健機関)傘下のワクチン配布計画(Covaxファシリティ)に関しては、WHOが安全性を承認済みとして、国内審査を免除する方針も決めている。
9日にはオズワルド・クルス財団(Fiocruz)がオックスフォード・ワクチンの製造を開始し、10日には追送分のコロナバック用の有効成分も到着した。