ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》アマゾン審議会=ヴェルデ作戦から兵士撤退=森林伐採増加が続く中=今後は11市中心に監視継続

《ブラジル》アマゾン審議会=ヴェルデ作戦から兵士撤退=森林伐採増加が続く中=今後は11市中心に監視継続

10日の全国法定アマゾン審議会の様子(Bruno Batista /VPR)

 法定アマゾンでの不法伐採や森林火災に対して国際社会が厳しい目を向ける中、モウロン副大統領が10日、兵士撤退などを盛り込んだ21/22アマゾン計画を発表したと10、11日付現地紙、サイトが報じた。
 法定アマゾンでの森林伐採や森林火災の増加には国際社会も注目しており、欧州連合(EU)諸国がメルコスル(南米南部共同市場)との自由防衛協定承認を見送る可能性が高まっている。ノルウェーやドイツはアマゾン基金への寄付を停止しており、バイデン米大統領は就任前から制裁の可能性を示唆してきた。
 そんな中、不法伐採や森林火災を抑制するために採用されたヴェルデ・ブラジル作戦第2弾(VB2)が80日を残した状態で、全国法定アマゾン審議会議長のモウロン副大統領は兵士撤退を発表した。
 新年度計画が始まるのは4月30日からだ。アマゾン審議会では2カ月余りをかけ、不法伐採その他の違法行為の監視や撲滅に向けた具体的な方策について討議しており、1月28日からは計画の詳細を詰めるための会合も開催されていた。
 10日の審議会後、モウロン副大統領は、法定アマゾンは九つの州にまたがっているが、今後の監視活動は犯罪行為の70%が集中している11市に焦点を当てて行うとの意向を明らかにした。
 11市の内、7市はパラー州にあり、残りは、ロンドニア州一つ、アマゾナス州二つ、マット・グロッソ州一つとなっている。これらの市は幹線道路に近いために木材搬出が容易で、人口も密集している。

 また、軍兵士の撤退に伴い、活動の中心は国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)、生物の多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)、国立植民農地改革院(Incra)といった監視機関と連警、連邦道路警察となる。経済省などが承認すれば、監視機関の管理部門で働く職員の臨時採用もあり得るという。
 モウロン副大統領によると、ヴェルデ・ブラジル作戦には4億1千万レアルが投入され、昨年6月~今年1月の森林伐採量は前年同期比で19%減ったという。
 だが、19年8月~昨年7月の伐採量は前年同期比で9・5%増えている。副大統領は、国外からの支援を心待ちにしている事を示唆する発言も行った。
 副大統領によれば、軍兵士の撤退は昨年11月に軍の派遣延長を発表した時から決まっていた事で、環境省や農務省などの関係省庁も事前に準備をしているから、保護・監視活動が疎かになる事はないという。
 だが、ボルソナロ大統領が9日の閣僚会議にモウロン副大統領を呼ばなかった事などから、環境問題の専門家や活動家の間では、サレス環境相が再びアマゾン問題に関わり始める事や、先住民居住区での不法な金採掘が増える事などを懸念する声が高まっている。
 8日にはロライマ州知事が水銀を使った金採掘を認める州条例を裁可して官報に掲載したが、同州検察は条例は違憲と指摘。同州先住民審議会など40団体が、先住民保護区や森林破壊を招くとして撤廃を求めている。