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援協=医療従事者や入居者に接種=4老人ホームでワクチン1回目=「一般向けの予定はなし」

新型コロナウイルスのワクチン(コロナバック)

新型コロナウイルスのワクチン(コロナバック)

 ブラジルでは1月20日に医療従事者から開始された新型コロナウイルスのワクチン接種だが、高齢化が進む日系社会でも待ち望まれている。サンパウロ日伯援護協会(税田清七会長)でも最前線で働く医療従事者を最優先に、関係職員や4ヵ所の高齢者養護施設でもワクチン接種が実施された。このニュースを聞いて、リベルダーデ医療センターでも接種が始まったと思い込み、同施設に訪れる高齢者がいる。しかし、同センターでは一般向けのワクチン接種は予定されていないのが現状だ。

 ブラジル全土で高齢者から順次始まったワクチン接種だが、公立医療機関限定で行われているので、「お金を払って私立病院で」という訳には行かない。一般市民には、統一医療保健システム(SUS)の公立病院や保健所(USB)で順番に行われている。
 前園マルセリーノ武弘援協事務局長によると、援協にも1月に州政府からワクチンが医療関係者向け限定で配布された。前園さん自身も2月初めにワクチンを接種した。
 「様々な副作用が疑われていますが、私自身も日頃のストレスが原因かもしれないと思う程度の疲れが、接種した日に少し出ました。ですが、ごく普通に過ごせてきました。これまでワクチンを受けた援協関係者や養護施設の高齢者の間で病院に駆け込むような副作用が出たという報告はありません」と話す。

新型コロナウイルスの感染予防を呼びかける援協のエレベーターの表示

新型コロナウイルスの感染予防を呼びかける援協のエレベーターの表示

 特養老人施設あけぼのホーム、高齢者養護施設カンポスさくらホーム、イペランジアホーム、サントス厚生ホームでは、職員と入居者全員に1回目のワクチンが接種された。最初に実施されたのは1月25日のサントス厚生ホームで、2月9日のさくらホームで1回目を全て完了した。より高い感染予防の効果を得るためには、2回の接種が必要で、1回目から3~4週間後に2回目を接種することになる。
 サントス厚生ホームに母親が入居するサンパウロ市内在住の女性は、「職員の方が1月25日に1回目の接種を受けたと連絡してくれました。パンデミックになるまでは毎週面会に行っていましたが、外出自粛の始まった昨年3月以降は面会禁止となり、母と会えなくなってからもうすぐ1年になります。2回目の接種を受けた後は母に会えるかもしれないという希望が出てきました」
とわずかに笑顔を浮かべる。「それでも、外国ではワクチンが不足して予定の接種日が先延ばしになったニュースも聞きます。ブラジルでもまだ何が起こるか分かりません。面会に来ても良いという言葉を聞くまでは、ぬか喜びにならないように過ごしたいと思います」と続けた。
 母親と直接の面会こそできなかったが、この女性は1年、同ホームの職員のサポートでビデオ電話を通じて母親とはスムーズにコミュニケーションできてきたことに感謝している。